第三十話 神社の巫女その一
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第三十話 神社の巫女
神社のその社の扉を二人で開けた、するとそこでは。
まずは十五メートルはある大蛇がとぐろを巻いているのが見えた、その左隣には大天狗がいて二人から見て正面を向いてあぐらをかいて座っている。
その大蛇がたまりかねた調子で言っていた。
「お嬢、だからもう寄せ」
「その通りじゃ」
天狗も言う。
「今日も二升飲んでるぞ」
「飲み過ぎじゃ」
「わし等も飲むがそれ以上ではないか」
「御主は高橋是清さんか」
明治から昭和に活躍した政治家だ、首相を務めたこともあり達磨さんの愛称で親しまれていた。
「高橋さんみたいに飲むのう」
「それでは何時か身体を壊すぞ」
「平気よ」
大蛇から見て正面から高い可愛らしい感じの女の子の声がした。
見れば白地に赤の巫女の服を着た小柄な女の子がいた、黒のショートヘアに赤い四角い縁の眼鏡をかけている。口は小さく黒い目は大きい。
その巫女が右の片膝を立てて座っている、左手には一升瓶がある。
少女はその一升瓶にそのまま口を付けてラッパ飲みをしている、そのうえで大蛇と天狗にこう言ったのである。
「これ位はね」
「それで三升だぞ」
「何度も言うが飲み過ぎだぞ」
「そういうあんた達だって飲んでるじゃない」
少女は今度はするめの頭をかじりながら言った。
「特にうわばみさん、あんたね」
「わしは確かにうわばみだ」
大蛇、うわばみは自分のことを肯定氏tえ返した。
「飲める、しかしだ」
「しかしって?」
「わしの身体はこれだけの大きさだ」
鎌首をもたげたその大きさは人よりさらに高い、相当なものだ。
「しかし御主はだ」
「一五一よ」
その赤ら顔で言う。
「小柄なのは気にしてないから」
「その小さな身体で毎日三升だぞ」
「それも少なくともじゃ」
つまりさらに飲むというのだ、三升から。
「どういった身体じゃ」
「急性アルコール中毒だの糖尿だのにならんのか」
「甘いものも好きだというのに」
「本当に身体に悪いぞ」
「糖分は全部消費してるからね」
少女が言うにはそうらしい。
「身体動かしてるし巫女のお仕事もあるから」
「まあそうだがな」
「それはな」
妖怪達も納得しはする、しかし。
うわばみは難しい顔でこうも言うのだった。
「それでお嬢いいか?」
「今度は何?」
「お客人だぞ」
扉の方をちらりと見ての言葉だ、丁度そこに愛実と聖花がいる。
「お嬢の高校の生徒だ」
「八条高校のね」
「商業科の一年の娘達じゃよ」
天狗が少女に話す。
「前に話したな」
「ああ、泉を探してるっていうね」
ここで少女が二人の方を見た、そのうえで言うのだった。
「商業科の一年の娘達二人ね」
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