Episode2 《流し》
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
軋む剣越しに見るハズキの顔は俺への憎悪に満ちているようだった。
(どうする!?)
顔の前に翳す剣はギシギシと嫌な音を立て、今にも弾かれそうだ。もしそうなった場合、俺の顔面に斧が直撃するわけであるが、なんとかそれは避けたい。なんたってここは《圏外》のフィールドだ。顔のような急所に剣を砕くほどの一撃を食らわされてはHPがどうなったものか分からない。無いとは思うが最悪全損なんてことも……。
「っ!…なぁあんた!ここが《圏外》だって分かってるか!」
そう叫んだら一瞬だけ、斧の押し込んで来る力が弱まった。その隙を逃がさず片手剣のグリップを両手で握って、渾身の力で切り返した。重そうな斧を頭の後方へ押しやられたハズキがバランスを崩してよろよろと後ずさる。
「アカリ、下がってくれ!…って、あれ?」
距離を取ろうと後ろにいるアカリに声を掛けたつもりだったのだが、振り向いたそこに少女の姿はなかった。かわりに近くの木の下にしゃがみ込み、姿を消す後ろ姿を見た。
なんと羨ましい能力だ…。
「って、んなこと考えてる場合じゃないか」
再び前を向いた俺に体勢を立て直したハズキが対峙する。憎々しげに俺を射抜く視線になんとか堪えつつ口を開く。
「なぁ。一回落ち着いて話を聞いてくれ」
「………」
ハズキの沈黙を勝手に肯定と受け取り話を続ける。
「俺はカイト。あんたと話がしたくて来たんだ。あんたにお願いがある。アカリを追い掛けるのを止めてあげてくれないか?」
「……は?」
「だから、あんたに追い掛けられてあの子は困ってるんだ。会うなとは言わないけど、せめて執拗に追い回すのは止めてあげて…くれない…かな?」
言いながら「ヤバいな」と思った。ハズキの顔が見る見る赤くなり、斧が地面にたたき付けられた。
「僕はアカリちゃんに迷惑なんか掛けてない…」
「や、今実際に困ってるんだって」
「お前は嘘をついてる!」
「嘘じゃないって。なぁハズキ、ちゃんと話を聞いてくれ」
「っ!!…バカにしてるのか?」
「なんのことだ?」
ほとんど地面に埋まった斧をハズキが引き抜く。体をよじるように斧を構え、今にも攻撃してきそうだ。
「なんのことだよ。バカになんてしてないよ」
「また、お前も僕の名前をバカにするのか?女みたいだって!他の奴と同じように?…僕の名前を呼んでいいのは、アカリちゃんだけだァァァ!」
「ちょっと、待てってば!」
地面を蹴ってハズキが俺に迫る。だが、先程も感じたようにそのスピードはかなり遅い。多分こいつはステータスを筋力に振っているんだろう。
「うおぉぉぉ!」
「待てっつってんのにさ!」
横薙ぎに振られた斧を軽いバックステップで躱す。そのまま同じ動作をお互い繰り返
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ