出会い
Trick02_まるで“時が止まった”ように動きませんの
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「・たす・・て・・」
路地を進んでいる5人にかすかに声が聞こえた。
その声には恐怖が混ざり、今にも消えてしまいそうな泣き声だった。
「嘘から出た真、ってか。 笑えね傑作だ」
西折は今までの丁寧なしゃべり方でなく、感情をそのまま口に出して
知人の口癖を借りて悪態をつけた。
その言葉からは急がなければならないという焦りと、敵への怒りが染み出ている。
「御坂さん達は早く引き返してください。これは私の仕事です」
再び丁寧な口調に戻した西折は、後ろにいる4人に言った。
「いいえ、これは風紀委員の仕事ですわ! あなたこそ危ないですから下がった方が
よろしいですわよ!!」
後ろから追ってくる4人。白井が風紀委員として目の前の事件に関わる気でいた。
他の4人も引き返す気はないと表情に出ている。
西折は4人を見て説得をするのを諦めたのか、前を向いて走り出した。
「いた。
待ておまえら!! その子を離せ!!」
ようやく子供を連れた男たちが見えた。すぐに西折は叫び警告する。
3人いる不良と思われる男たち。その内の一人の腕に赤い髪の子供が抱えられて
子供は足を振り必死に抵抗している。
そして西折の声を聞いて男たちが振り向いた。
「ちっ! 変なのに見つかっちまったぜ! おまえら足止めしてもう一台の
車で来い! 俺はガキと先に行く!」
「「おう!」」
先頭を子供を抱えて走っていた男が指示を出して、他の2人が西折たち5人に
振り向き、ナイフを取り出して戦闘態勢をとった。
「時間がないから、すぐに終わらせる」
静かに宣言した西折。
だが、その行動を邪魔したのは誘拐犯ではなく、西折の後ろにいたはずの白井黒子だった。
「風紀委員ですの! 児童誘拐の現行犯と銃刀法違反の罪で
拘束しますわ。どうぞ大人しくお縄についてくださいまし」
白井はレベル4の空間移動の能力者。
その能力を使い西折の前へと“移動”したのだ。
風紀委員としては一般人の西折を戦わせないため、そして犯罪者と言えど説得して
自首をさせるために一番前へと移動したのだ。
「空間移動者だと!
くそ、よりにもよってこんな厄介な能力者が来ているんだよ!」
男たちは明らかに動揺した。説得を続ければ諦めて武器を捨てたかもしれない。
もしくは焦って攻撃、その結果は単調な動きで簡単に拘束できただろう。
そう、“時間を掛ければ”可能だったはずだ。
「さあ、大人しくしていただければ痛い目を「時間がないって言いましたよね」 !?」
白井を遮る声が出された。その声は白井の後ろからではなく
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ