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番外編
青騎士伝説 中編
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 「――――――――ッッ!!!」

 雨音を引き裂くように響いた絶叫は、もう人の声と呼べるものでは無かった。と同時に、オレンジプレイヤー、『POH』の送ったデュエル申請が承諾された。モードは『全損モード』だったにも関わらず。

 (ふむ、予定通り、です……)

 予定通り、と言えば予定通りだった。綿密に調べ上げた情報によって可能な限り『青騎士』の個人データは割れていたが、それでも『青騎士』の謎の全てが解明できていたわけではなかった。だから、すでに判明している「不死」に対する対策として「一対一の状況を作り出す」、そしてほかのプレイヤーに注意が行かないように挑発する、という作戦をとった。

 (です、が、……)

 それほどの効果が『PoH』の名前には十分あると考えていた。彼が元『攻略組』ギルドの壁戦士ファーだと知ってれば、それは当然とも言えた。なにせ『PoH』は彼の所属ギルドを壊滅させた張本人なのだ、名前だけで十分挑発の効果はあるだろう。

 だが。

 (もっと怯えると思っていたのですがね……)

 他の面々よりはるかに充実した装備であったにも関わらず戦闘では平凡な能力しか有さず、他の面々の特異な才能の影に隠れた、「ギルドのお荷物」。何よりも、壁としての自分の能力を信じきれないその精神面の弱さ。

 それが、彼の調べたファーという人間だった。
 まさか、最強の殺人鬼を相手にここまで猛るプレイヤーとは。

 (まあ、いいでしょう。予定通りと言えば、予定通りです)

 一息つく。まあ、挑発の目的は果たした。
 そしてデュエルのカウントは、既に始まっているのだ。

 「いいでしょう。少し遊んであげますよ、『青騎士』君」

 構えるのは、両手に投げナイフ。鋭利な輝きを放つそのナイフが放つ琥珀色の輝きは、既にマスターに達した《投剣》スキルのソードスキルと、《短剣》スキルによる《鎧通し》。そして背中には『秘密兵器』たる奥の手も完備している。抜かりはない。

 二人の距離は、この雨の中では姿がぎりぎりで見える程度の距離。
 たとえリーチに優れる長槍のソードスキルでも、あの体では一瞬というわけにはいかないだろう。

 そして。

 (たとえ戦意はあっても、それは勝敗には直結しないのですよ?)

 「―――ッ!!!」
 「はははははは!!!」

 ゼロになるカウント。と同時に、『青騎士』は、策も何もなく無言のまま突進してきた。強烈な青のエフェクトライトをまるで全身に纏ったような闘気を放ちながらのソードスキルだ。……しかしそれは、完全に予測の範囲内。

 「はああっ!!!」

 一気にPOHの体が横の空中へと踊り、その両手から琥珀色の光を纏ったナイフが同時に襲いかかる
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