番外編
青騎士伝説 中編
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さえも、彼のことは詳しくは知らない。知っているのはせいぜい名前と、《木工職人》のスキル持ち、あとは主武器が木こりらしく斧を使う、というくらいであってそのレベル、日常生活、そして戦闘技術に関しては一切の謎なのだ。
分かっているのは、レミの依頼なら、アイテム調達も武器作成も、果てはMob狩りですらこの男は万難を排して最善の結果を叩きだしてきたという、その実績と謎めいた実力だけ。
……いや、もうひとつ。
「アタシは別行動で後から向かうわ。だからレミと二人よ……不本意ながら」
「まじでっ!!? ぅぃいやっほぉ〜い!!!」
……そして、この雨の中にハイテンションでいるような、変態であることも、か。
正直心配が無くならない。
しかし、
「オレンジ退治? うんうんやるやるぅ! レミちゃんの頼みならオレンジもレッドもパープルもぬぁ〜んでもどぉ〜んと来いさぁ〜!」
「……武器は、持ってきた?」
「もっちろ〜ん!愛しのレミたんへの俺の想いのたぁ〜っぷり入った、」
「ならいいわ。一応アタシも店売りで最強のも持ってきたけど、どうする?」
相手がオレンジと分かっても、全く怯む様子の無いこの態度はなんなのだろう……などと考えるリズベットをよそに、レミはなんか言ってるウッドロンをガン無視して装備アイテムを確認している。リズベットもウッドロンの装備を整えるべく、巨大な戦斧を差し出して、
「ん〜、……使い慣れてるからね。こっちがいいや」
「……っ!?」
ウッドロンが、無造作にオブジェクト化した、異形の戦斧を見て凍りついた。
一言で言えばそれは、ハルバード、になるのだろう。先端から伸びる特徴的な鋭い突起に、巨大で重厚な斧の刃。しかしその巨大な刃の峰には明らかに打撃系の武器を髣髴させる金槌上の鉄塊を備え、さらにはその取っ手の反対側には刺突属性を持つと思われるレイピアのような刀身。
(……な、なに、この武器……!?)
SAOに存在する武器の持つ四つの攻撃属性すべてを兼ね揃えた特殊極まりない武器。その武器が、リズの記憶をきりきりと刺激する。しかしウッドロンはそんな視線には気づかず、そのまましまってレミとの最後のアイテム確認をする。
取り出すアイテム、《護法の影守》はリズベット用の『パーティー全体に『隠蔽』効果ボーナスを与える』という装飾品。もう一つ取り出した、《水精霊の片眼鏡》はレミ用。水滴や霧の視界妨害を防ぐこのアイテムなら、この雨の中でもクリアな視界を保つことが出来る。
どちらも、『冒険合奏団』の倉庫のアイテム。
それをみて、リズベットの顔が曇る。言いようのない不安が、心をよぎる。
「……レ
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