十話
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金は別の者からすぐに払おう。私のことはアントーク当主と覚えてもらえば結構。それが済めばもう用はないだろう、どうせここだけの縁だ」
「いえ、きっとそうはならないと思います」
「……ほう」
紙にサインを済ませ、近くにいた従者に荷物を運ばせ踵を返し始めていた足を止め、男性が返された言葉に不敵な笑みを浮かべ視線を向ける
その言葉を発したシンラは今までの慇懃な態度をやや崩し、口の端をやや曲げた面白そうな表情を少し浮かべ口を開いている
「実は、先ほどの中になかったもので一つ、買ってしてもらいたいものがあります」
「ほう、言ってみるといい。先ほどの私の言葉を聞いた上で止めたのだ、それだけのものなのだろう?」
「ええ、きっと気に入ると思います―――レイフォン」
「………あ、はい」
呼ばれ、今までずっと蚊帳の外で半分とんでいた意識が戻りレイフォンはシンラに近づく
呼ばれ近づいてきた子供に、男性は視線を向ける
「随分と幼い子供だな」
「ええ。実は、買ってほしい物とは彼のことです」
そういい、シンラは面白そうな笑顔を浮かべ、困惑しているレイフォンの背を押す
「正確に言えば、彼の力です」
「何が言いたい?」
「聞きましたがここの御嬢さん、人を呼んで稽古をしているそうではありませんか。それに是非この彼をと思いまして」
「……ふざけているのか?」
こちらを一瞥し、男はシンラに眼差しをきつくした視線を返す
「どこで聞いたかは知らんが、確かにニーナの教導の為に必要な人材を呼んではいる。だが、こんな子供を出されるとは随分と舐められたものだ」
「いえ、見た目で判断するのは早いかと。彼、レイフォンは十分な力を持つことは確認済みで、護衛として雇わせてもらいました」
「貴様らの認識が何の保障になる。こんな子供に頼るなど、その程度の者だということだはないか?」
「耳に痛い言葉ですが、レイフォンの力は今まで私が見た中でも最上位の物。グレンダンの出だとか」
「――――始祖の都市、だと?」
先ほどまで険しい視線を向けていた男性はその言葉に反応し、小さく何かを呟いて顎に手をやり考え始めた
注意がそれたことでレイフォンはシンラに視線を戻し小さく抗議の声を上げる
「ちょ、どういうことですかシンラさん!?」
「ほら、バスの中で言っていたじゃないか。シュナイバルに着いたら何かバイトをするつもりだって。手伝おうと思ってね」
「え、えー!」
今現在レイフォンがシンラ達といるのは護衛のため。帰りの分まで契約しているとはいえ、あくまでも道中の護衛の側面が大半のため、都市についてしまってからはすることなど殆ど無い
そのため、空く時間をバイトに当て様と思っていることを話した。ヨルテムの時のように年齢で跳ねら
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