勝利と平和 〜裏切の翼編〜
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ウイングオメガが地球の大気圏突入直前、前方に白い飛行機を確認した。
「ん…?あれは…」
フアラはウイングオメガを操作しながらデータの照合を試みた。
「最新のデータバンクに該当機種は無い…と、すると…」
フアラが分析しているその白い飛行機の内部に乗っていたのは、仮面の男、サユイラである。
「地球軍か…」
サユイラは手元のスイッチを押した。
「カプセル破棄、全減速ユニットをパージ、戦闘形態へ」
すると、白い飛行機が砕け散り、双頭の竜を模した戦闘機、エピオンUが現れた。そして、頭を後ろに回し、翼を閉じるとMS形態のエピオンUがいきなり斬りかかった。
「大気圏で戦るつもりか!?」
フアラはその斬撃を翼に食らった。コックピット内に警告音が響いた。
「粒子散布口大破ッ、コードZERO!!」
ウイングオメガのモニターに『ZERO』と表示され、フアラの目が変色した。
「な…なんだ…これは…!」
フアラの脳裏に幾つものビジョンが浮かんだ。自分をかばい斬り付けられる少年、血まみれで笑顔を見せる少年、誰かに殴られる少年、どれもフアラの幼少期の記憶だった。
「黙れオメガ!!俺に過去を見せるな!!」
フアラは怒鳴りつつ冷静に戦闘を続けていた。
2機のサーベルとソードがぶつかり合った。とほぼ同時にエピオンUのカメラアイが砕けた。
「さすがに大気圏では機体に負担がかかり過ぎるッ!」
元々、エピオンUは高機動高火力格闘機として開発されていたので、オメガに比べて装甲が薄いのだ。
しかし、戦闘は激しくなる一方だった。両機のシステムの読み合いで、機体は複雑に右往左往しながらぶつかり合う。
「もってくれエピオン!!」
サユイラの願いもむなしく、エピオンUはバーニアの80%を損失し、飛行不可に陥った。
「私はこんなところで死ぬわけにはいかないのだ…ッ」
瞬間、サユイラの脳裏にビジョンが浮かんだ。こちらを見ておびえる少年、笑う少年、泣いている少年、フアラと同じような光景が浮かんだ。
その刹那、サユイラの脳裏に声が響いた。
(死ぬな!!)
オメガの翼がエピオンUを包んだ。気体への負担は軽くなり、これ以上破損はしなかった。
赤く燃え上がる2機は太平洋に着水した。
その光景を窓からヒイロが見ていた。その目はどこ懐かしそうだ。
「はじめまして、お父さん」
その奇妙な発言をエルヴは聞いていた。そして、外で起こっている事を予測した。
太平洋に着水した2機は接触回線で通信していた。
「まさか敵軍の兵士に助けられるとはな」
その声を表情一つ変えずに聞いていたフアラが映像通信に切り替えた。
「兄さん」
「フアラ!?」
互いの顔を久しぶりに確認した2人が会話する暇もなくレーダーが反応した。
「ミサイルだ!!」
エピオンUの背後から
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