追想〜紅い侍、紅い武者巫女〜
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の岬』。最高に美しい夕日が見られると評判の、ALO随一のデートスポットだ。
「えっと・・・・・・クライン、その、話って・・・・・・何?」
恥じらいながらも上目使いに聞いてくる彼女。左側から差す夕日に照らされた顔はたまらなく美しくて・・・・・・彼女の全てを、独占してしまいたくなる。
「「・・・・・・あの!」」
声が全く同時に重なってしまった。漫画の中でしかこんなことはないと思っていたが、本当にあるんだな、こんなこと。
「く、クラインから、お先にどうぞ・・・・・・・」
リューナから先に譲られたので、俺は懐から小さな箱を取り出した。
「わあ・・・・・・!きれい・・・・・・!」
その中身は、火妖精のシンボルである炎と赤い翅をあしらった、メタリックレッドのネックレスだ。悩みに悩み抜いて買ったので、気に入って貰えて何よりだ。
「じゃあ、私からは・・・・・・これ」
そう言ってリューナが俺の首に掛けてくれたのは、俺の愛刀の鍔を模したネックレスだった。
「ありがとう。大事にするよ・・・・・・後、」
そこで一旦言葉を切って、深呼吸をする。今だ。今こそ、伝えなければならない。愛する人に・・・・・・自分の、偽らざる想いを。
「・・・・・・俺と、結婚してほしい。ALO(ここ)でも、リアルでも。」
返事はない。・・・・・・やっぱり、駄目なのか?顔をあげると・・・・・・彼女は、泣いていた。
「ごめんなさい・・・・・・その、ひっく、嬉しくて・・・・・・ぐすっ・・・・・・・はい。私も・・・・・・大好きです・・・・・・・凌太郎くん。」
俺より頭一つ分身長が低いリューナは、すっと背伸びをした。俺は彼女をそっと抱き寄せると、唇を合わせた。
「一生、離さないでね?」
「もちろん。・・・・・・指輪も、すぐに買うから」
夕日の最後の一欠片が海に消えようとしている。錯覚だと分かっているが、今日の夕日は、特別に大きく、美しく見えた。
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