追想〜紅い侍、紅い武者巫女〜
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クラディールSaid
「よし、キリト、見つけたか?」
「ああ、もうすぐこっちに来るぜ・・・・・・クラディール、聞き耳スキルは準備OKか?」
鍛え上げられた『索敵』スキルでクラインとリューナを補足した俺達は、予想されるルートの脇道で隠蔽スキルを使い、路地裏の薄闇に紛れていた。恐らく二人からはここは死角だろうし、聞き耳スキルのおかげで二人の位置は手に取るように分かる。かつてあのデスゲームで俺達を幾度となく助けた『隠蔽』『索敵』スキルが、何とも下らない理由の為に最大限利用されていた。
・・・・・・ん?罪悪感?野次馬根性に比べたらそんなもの塵に等しいな
「・・・・・・来た!聞き耳スキル展開急げ!」
「あいよ!」
あまり目立たない通りを二人並んで歩くクラインとリューナ。どちらも和装なので、その姿はうんと様になっている。
その二人を見て「事実だったのか!」と二人して驚く俺達だが、すぐに気を取り直して聞き耳に集中した。
「・・・・・・・そろそろだぜキリト。出来るだけ自然な風に出ていくぞ」
「・・・・・・・ああ、分かった」
俺達は『隠蔽』スキルを解き、自然な感じを装って路地裏から出た。・・・・・・・そう、並んで歩く、クライン達の目の前に。
「き、キリトとクラディール!?どうしたんだ!?」
面白いくらいに驚いてくれるなークラインの奴。
「いや、こいつが路地裏の食べ歩きをしようとか言うもんだからよ、全く、ひどい目にあったぜ」
「って事は・・・・・・さっきのこと、きいてましたか?」
青い顔をしているリューナさん。そりゃあそれを聞きに来たんだから聞いてないわけがない。
「ああ、大丈夫だぜ、リューナさんがクラインにキスをせがんでいるところとか、これっぽっちも見ちゃいねぇ。そうだよな、キリト?」
「ああ、そうだな相棒。お前が頑張って結婚の話を切りだそうとしてるのなんざ、これっぽっちも見ちゃいないぜ」
聞いてたんですね!と金切り声を上げるリューナさん、うぐぐっと変な声を上げているクライン。どちらの顔も彼らが着ている服より真っ赤だ。
「行くぞ、リューナ」
「へ?」
「こいつらがいちゃおちおち話も出来ない!話したい事があるって言ったろう?」
そう言ってクラインはリューナの手を握ると、深紅の翅を震わせて飛びたってしまった。ここから先は・・・・・・詮索するのは野暮ってもんだろう。
「さて、帰るか。何か作るぜ、相棒」
してやったりと二人で笑いながら、俺とキリトは右手の甲・・・・・・相棒の証であるボディペイントがある部分を、ぱし、ぱし、ぱし、と打ち合わせた。
クラインSaid
(連れてきてしまった・・・・・・)
火妖精領最南端の地、『地竜
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