1話
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た。
玄関の覗き窓から、そっと外の様子を確認する。が、何故か何も見えなかった。
大人しく出よう。静かに深呼吸して、キンジは扉を開けた。
固い感触。
「あいたっ! もお〜、急に開けないでよキンちゃん!」
「お……おう。悪い、白雪」
謝らなくてもいいよ、と額を赤くした星伽白雪は微笑んだ。
キンジの通う東京武偵高の防弾機能付きセーラー服は今日も乱れがない。強いていうなら、彼女の持つ豊満な胸が(主に男子生徒の)風紀を乱しているくらいだろう。
長い黒髪のてっぺんに白いリボンをちょこんと乗せた、大和撫子を体現したような日本風美少女である。
キンジ曰く、変人だらけの武偵高の中でもトップクラスの変人ーーらしいのだが。表面上は、とてもそうは見えない。
「今日は自分で起きれて偉いね、キンちゃん! でももう少し寝てても良かったんだよ? 私が起こしに行ったのに」
「いつまでもガキじゃないんだ、そんなことする必要はない。というより今すぐ止めろ俺の成長のためにも」
「ええー、そんなぁ」
こんな美少女が、朝から部屋に迎えに来てくれる……男なら一度は憧れるシチュエーションだ。が、キンジの表情は優れない。
原因は、すぐに分かった。
「ところで」
一言。
何の気も無い、ただ一言。そう言えるかも怪しい会話の繋ぎ程度の一声で、キンジの顔から血の気が引いた。
そして白雪の瞳からハイライトが消えた。
「何でインターホン押したのに出なかったの?」
「あんなに何度も押したのにピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンって1086回も押したのにねえ何で電話も出てくれないのずっとずっと掛けてたのにキンちゃん起きてたよね分かるよだってずっと見てたもん朝のテレビの占いも見てなかったよね大丈夫?良ければ私が占うよ?ていうかテレビの占いなんてそもそも見る必要ないよね私がなんとしてでもキンちゃんの運勢を最高にしてあげるんだから占いとか意味ないよねそういえばインターホンも聞こえてたよねだってずっと聞いてたもんねえ何で?どうして?キンちゃんは私のこと嫌いなの?嘘だそんなことある訳ないだって私はキンちゃんがこんなに大好きなのにああキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃん好き好き大好き愛してるキンちゃんのためなら何だってできるキンちゃんのためだったら星伽も潰せる先生だって殺せる犯罪者を一匹残らず皆殺しに出来るだから愛してキンちゃん私をいいでしょキンちゃん手を繋ごうキスし
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