黄巾の章
第18話 「……心配なのですよ、貴方のことが」
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身を隠せない。
(どうしたもんか……)
そのまま四半刻(三十分)が過ぎようとした頃――
松明がゆらゆらと揺れ、その光の塊が分かれだした。
どうやら半数がここに残り、半数が東へと進路をとっている。
(まさか……二手に分かれる気か?)
まずい。
桃香がどちらにいるかわからない以上、どちらも放って置くわけにはいかない。
(どちらに桃香がいる……? 東に行くほうか? だが、あちらが先行部隊で残るのが本陣だったら……いや、残るほうは殿かもしれん。こちらが追っていることを見越したのだとしたら……)
桃香を人質にしているとすれば、殿にするほうが理屈は通る。
だが、そう思った矢先に、残ったほうが西へと移動を開始していく。
(ぬ……やばい。先程分かれたのが囮だとしたら……こっちが本命か?)
どうする?
どちらに賭けるか……
一瞬の逡巡。
その時、後方の暗闇にちらりと光が見えた。
「む!?」
振り向くと、松明の光がゆらゆらと揺らめいている。
それと同時に、騎馬の足音が聞こえた。
「敵……いや、援軍か!?」
俺は月明かりに目を凝らす。
先頭は……あ、あの桃色の髪は!
―― 孫策 side ――
たぶんこの辺だと、わたしの勘が告げているんだけど……
勘を頼りにこちらへと馬を奔らせるわたし。
たぶんこの辺で合流できると思ったんだけどなあ。
「孫策様! 本当にこちらで宜しいのですか!?」
後ろを走る董卓軍の騎馬兵が、そう問いかけてくる。
さてどうしよう。
勘でここまで奔って来たって言うべきかしら?
わたしの兵ならともかく、あの張遼直属の兵じゃ絶対信じてくれないわよね〜……
「あー……うん。そうね、もうちょっとだけ――」
「孫策殿!?」
あ、やっぱりいた。
わたしの前にあの天の御遣いが現れる。
「あーよかった。合流できたわね」
「どうしてここに!? 宛ではまだ戦闘中では?」
「あーうん。張遼将軍が貴方を追おうとするから、代わりにわたしが来たのよ。まあ、それはともかく、劉備ちゃん、攫われたんだって?」
わたしの言葉に、少し驚きつつ頷く御遣い。
「時間がないので簡潔に言います。相手は二手に分かれました。どちらかに桃香がいます。正直、どちらを追うか迷っていましたので助かります。今前方にいる部隊を任せてもいいでしょうか?」
御遣いが示す先には、西へと移動しようとする松明の集団があった。
数は……千か二千というところか。
「貴方だけでもう片方を追う気? さすがに無茶じゃないかしら?」
「いえ、私一人なら
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