黄巾の章
第18話 「……心配なのですよ、貴方のことが」
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
!?」
桃香が連れ去られた!?
「愛紗や鈴々はどうしたんや!」
「負傷して、今は輜重隊にて治療中です! 逃げた黄巾本隊はおよそ三千! 私は、盾二殿にここを任されて指揮をしております!」
「盾二はどうしたんや」
「盾二殿は……お一人で追撃する、と」
「なっ……!?」
あの、向こう見ず!
どんだけ一人で何でも片付けようとすんねん!
「ちい……なら、うちが行く! ここは任せ……」
「あら。ならわたしが行くわよ」
「「!?」」
ウチと馬正が振り返る。
そこには、全身が血にまみれ、褐色の肌なのか、鮮血の肌なのかわからんような孫策の姿があった。
「張遼将軍にもしものことがあったら大変だもの。馬を貸してもらえばすぐに行くわ」
「し、しかしあんさん……」
「それにわたし、まだ劉備って娘に会ってないのよねー……どんなの子なのか見たいしー」
そう言って部下を馬から下ろして、ひらりと跨った。
「あ、後から来る冥琳――周瑜に『任せた』って伝えておいて。すぐに助けてくるから、あとよろしくー」
「ちょ、おまっ」
ウチが止める間もなく馬を走らせる孫策。
あああっ!
「しゃ、しゃあない! おい、お前ら! 孫策についてけ! まかせるで!」
「「ハッ!」」
ウチの直属の騎馬隊五百が、孫策の後を追う。
まったく……命令も何もあったもんやないな。
あとで文句いっとかんと。
「馬仁義っちゅうたな」
「ハッ!」
「周辺の義勇兵の指揮は任せる。ウチは、残りの騎馬隊で周辺を蹴散らしてくるで」
「承知!」
馬正は、すぐさま周囲の義勇兵への指揮に走り出す。
「確かに指揮官のウチが、今ここを離れるわけにはいかへん……頼むで、盾二、孫策」
ウチは、孫策の後ろ姿を横目で追いつつ、馬を奔らせた。
―― other side 宛 近郊 ――
「しょ、将軍! こんな女を連れてどこにいくんですか!?」
兵の一人が馬を走らせながら尋ねてくる。
(ちっ……うぜえな)
俺はぐったりとして動かない女を、馬に乗せたまま舌打ちする。
「うっせえな……こいつは追っ手が来たときの人質にすんだよ。いいからお前ら後方を警戒しとけ」
「は……しかし韓忠将軍。よろしかったのですか、ほかの仲間を見捨てて……」
なに言ってんだ、こいつ。
「はぁ? お前、バカか? 見捨てて一緒に逃げ出している時点で、てめえも同罪じゃねぇか。クソみたいなこと言ってんじゃねぇよ」
「は……」
ちっ、この腰巾着が。
まあ、矢避けの盾として連れてきただけだしな。
うまいこと逃げられたら置き去りにしとけばいいか。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ