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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第18話 「……心配なのですよ、貴方のことが」
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!?」

 桃香が連れ去られた!?

「愛紗や鈴々はどうしたんや!」
「負傷して、今は輜重隊にて治療中です! 逃げた黄巾本隊はおよそ三千! 私は、盾二殿にここを任されて指揮をしております!」
「盾二はどうしたんや」
「盾二殿は……お一人で追撃する、と」
「なっ……!?」

 あの、向こう見ず!
 どんだけ一人で何でも片付けようとすんねん!

「ちい……なら、うちが行く! ここは任せ……」
「あら。ならわたしが行くわよ」
「「!?」」

 ウチと馬正が振り返る。
 そこには、全身が血にまみれ、褐色の肌なのか、鮮血の肌なのかわからんような孫策の姿があった。

「張遼将軍にもしものことがあったら大変だもの。馬を貸してもらえばすぐに行くわ」
「し、しかしあんさん……」
「それにわたし、まだ劉備って()に会ってないのよねー……どんなの子なのか見たいしー」

 そう言って部下を馬から下ろして、ひらりと跨った。

「あ、後から来る冥琳――周瑜に『任せた』って伝えておいて。すぐに助けてくるから、あとよろしくー」
「ちょ、おまっ」

 ウチが止める間もなく馬を走らせる孫策。
 あああっ!

「しゃ、しゃあない! おい、お前ら! 孫策についてけ! まかせるで!」
「「ハッ!」」

 ウチの直属の騎馬隊五百が、孫策の後を追う。
 まったく……命令も何もあったもんやないな。
 あとで文句いっとかんと。

「馬仁義っちゅうたな」
「ハッ!」
「周辺の義勇兵の指揮は任せる。ウチは、残りの騎馬隊で周辺を蹴散らしてくるで」
「承知!」

 馬正は、すぐさま周囲の義勇兵への指揮に走り出す。

「確かに指揮官のウチが、今ここを離れるわけにはいかへん……頼むで、盾二、孫策」

 ウチは、孫策の後ろ姿を横目で追いつつ、馬を奔らせた。




  ―― other side 宛 近郊 ――




「しょ、将軍! こんな女を連れてどこにいくんですか!?」

 兵の一人が馬を走らせながら尋ねてくる。

(ちっ……うぜえな)

 俺はぐったりとして動かない女を、馬に乗せたまま舌打ちする。

「うっせえな……こいつは追っ手が来たときの人質にすんだよ。いいからお前ら後方を警戒しとけ」
「は……しかし韓忠将軍。よろしかったのですか、ほかの仲間を見捨てて……」

 なに言ってんだ、こいつ。

「はぁ? お前、バカか? 見捨てて一緒に逃げ出している時点で、てめえも同罪じゃねぇか。クソみたいなこと言ってんじゃねぇよ」
「は……」

 ちっ、この腰巾着が。
 まあ、矢避けの盾として連れてきただけだしな。
 うまいこと逃げられたら置き去りにしとけばいいか。

 
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