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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜Cross storys〜
episode of cross:終着
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た紅白の騎士装束が近付いてきているのに気づく。

他の四人に声を掛けようと振り返ったら、全員が別々の方向を見つめていた。おそらく、ゲツガと同じように自分の守りたい者を人垣の中に見つけたのだろう。ためしに見回してみるが、それらしき人影たちは見当たらない。まぁ、人が多過ぎて分からない、と言うのも確実にあるのだが。

「帰って、きたんだな」

シキが感慨深そうに言い、その言葉にホークが言葉を返す。

「ああ、帰ってきたんだよ。俺たちの場所に……」

「………俺たちの居場所、か」

口から漏れ出るそんな言葉。うん、と全員がこくりと頷く。よっこらせ、と手を取り合って立ち上がる。

全員の、五人の口から、誰ともなくその言葉が紡がれた。そして

「「「「「さぁ、帰ろうぜ。俺達の居場所に………」」」」」

それぞれの方向に、一歩が踏み出された。










わいわい騒ぐ野次馬の塊から数メートル離れた路地裏に、二人の影がいた。

一人は細身の長身の男、一人は小柄な女性プレイヤーだ。

女性のほうは、この世界には絶対に存在しないもの。細身の木で作られて、軽く湾曲しているもの、すなわち弓を背に背負っている。

男は、体の要所要所を隠す最低限の軽鎧を装備している他はコートだけという、かなり防御力が心配になりそうな格好だったが、背に吊る純白の両刃の大剣は他者を圧倒する存在感を醸し出している。

男は野次馬の騒ぎを片耳で聞き、男は軽くため息をついた。

「はぁ〜。ったく、行きたかったねぇ。このイベ」

「しょうがないですよ、クラディール。ぎりぎり参加枠を確保できなかったんだから」

女性がそう言うと、クラディールと呼ばれた男が愚痴る。

「つったってなぁ、リリーナ。こんなに何もかもイレギュラーなイベントなんて、初めてなんだぜ。しかも、帰還した凄腕どもは全員瀕死。興味が出るのは仕方ないと思わねぇ?」

「思いませんー!」

リリーナと呼ばれた女性は、そう言い放つと拗ねたように顔をプイッと背けた。と言うか、明らかに拗ねている。

「え………ちょ、何を怒っていらっしゃるです?リリーナさん」

「…………だって、………危険なトコ行きたいなんて言うから………」

ぼそぼそと言ったリリーナの言葉を、クラディールは聞き逃してしまった。

だから素直に問い返す。

「え?なんつった?」

「な、なんでもないですっ!」

ぶんぶんと手を振り回してなぜかキレているリリーナを、クラディールはどうどうと宥める。

そうしながら、クラディールは再び野次馬の向こうを透かし見た。

いまだに騒ぐ野次馬の向こうは、常人では決して見えないだろう。だが、クラディールは確かに見えた。
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