Chapter-2 第5話
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れた本に書かれていないかな)
今は暗い洞窟。ラダトームに戻ったら調べてみよう、という考えである。
「さて、ここにはもう用は無いよね。戻ろう」
「そうはさせん」
「!?」
ハルカは声のする方向へ振り向く。そこには赤いローブの姿をした魔物がいた。
「俺は竜王軍幹部だ」
「なっ。僕を殺す気か」
表情は分からない。ただし、目は怪しく光っている。真っ赤に。
「当たり前だろう?お前は憎きロトの血を引く勇者だからな」
「竜王軍はロトを憎んでいるのか」
「というより忌み嫌っている。目障りな存在だとな。…ギラ!」
火の玉はハルカめがけ飛んでくる。ハルカは鉄の盾で防ぐことが出来た。
「不意打ちか!」ハルカは叫ぶ。しかし怒りは込められていない。ダメージはほとんどなかったからだ。
「ふん。お前を殺す為ならどんな手でも使う。今度はより強化されたギラだ……」
赤いローブの魔物は詠唱を始めた。高度な魔法を扱うときは詠唱が必要なのだ。利用する時が来た、ハルカは動き出す。
「なら僕もやらせてもらう。……“三重十文字斬り”!!」
ハルカの銅の剣は美しく三回、十の字を描き、赤いローブの魔物を切り裂く。
「なっ」
「お前は幹部といっても下のランクだろう?最初のギラは弱かったぜ。僕を苦しめるほどの敵じゃないな」
赤いローブの魔物は言葉を話せる能力を失い、奇妙な断末魔と共に消え去った。
「名前も名乗れないような魔物だし、な」
今度こそ用はない。ハルカはまた、来た道を引き返す。
岩山の洞窟を出た後、ハルカはキメラの翼でラダトームへ帰還した。そして、イアン一家の営む食堂で食事を取り(あいにくこの日は来客で家へは泊まれなかった)、宿屋に泊まることにした。
部屋でハルカは“戦士の指輪”を取り出す。ほとんど錆び付いてはいた。机には持ち歩いている本。何か分かることは無いかと、指輪をはめつつ、調べていた。
すると、あることが判った。
それは勇者ロトの仲間の男賢者がはめていた、不思議な指輪だったらしい。能力は不明だが、その指輪は男賢者の力を高め、勇者ロトの手助けに役立てていたという。
挿絵にあったその指輪は美しい銀色をしていた。ハルカの持っている“戦士の指輪”は真っ黒に錆び付いてはいたが、形は少しだけ似ていた。
(と、なるとこれは元々は賢者の指輪って事か。……しかし、何故“戦士の指輪”になったのか?……分からずに名付けたのか?)
ごうごうと動く扇風機に当たりながら、ハルカはもう少し本を読むことにした。
(……ああ、もう、蒸し暑い。鎧脱いだのに)
ハルカは半そでのシャツとズボン、戦士団のリングと、白いグローブ、ブーツの姿だった。何故か、脱いだのは兜と鎧だけ。最も、それには意味は無いが。
(…………まあ、これが元々はロト様の仲間のものだったって事が判
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