第八章 望郷の小夜曲
第四話 ハーフエルフの少女
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ルフは恐れられている存在のようです。ですので、ハーフエルフである彼女も、子供の頃から人に怯えられ、拒絶されてきたようです。それが彼女にとってショックだったのでしょう」
そう言えば彼女の耳は特徴的だったな。
エルフか……確かにルイズたちはかなり怖がっていたが……それ程の脅威には思えないが……彼女がハーフエルフだからか?
ふむ……脅威か……。
「エルフが恐れられているというのは俺も知っていたが、それ程なのか?」
「目にする機会がありましたので間違いありません」
「目にする?」
「シロウも遠からず見る機会はあると思いますよ。戦争が終わった後は、そういう輩が特に多く現れますので」
「そうか、しかしエルフか……あまり人と違わないように見えるが。精々耳が特徴的なくらいで、似たような―――」
「そうですね、私もあの程度なら目にした―――」
二人の声が尻窄みに消えていく。その時、二人の脳裏には同じ人物の姿が映っていた。
『皆様ぁ! わたくしはぁ! 葛木メディアでございますー! 葛ーー木ーーメーーーディーーーーアーーーーー!!』、片手にお玉を持ちフリフリのエプロンを着た姿で、高らかに叫ぶ特徴的な耳を持つ美しい女性の姿が……。
…………。
微妙な空気が流れる中、二人の視界が広がる。
森を抜けたのだ。
二人の目の前には、小さな村があった。
まだ日が昇りきる前だろうからか、村は未だ静まり返っている。
「さて、ティファニアはもう起きていると思いますので、これからティファニアの手伝いをしてきます」
「なら俺は薪割りでもしておこうか。少し足りなくなっていたようだったからな。何か他に手が必要だったら呼んでくれ」
「分かりました」
森を抜けた先で二人は分かれた。
セイバーの姿が見えなくなる頃、薪割り場に着く直前、士郎の足がピタリと止まった。
原因は視線の先にあった。
それは美しいとしか言い様のないものであった。
男の求める一つの究極であった。
その柔らかさに触れられれば、一生手を洗わない者がいてもおかしくはない存在。
ティファニアが、士郎の前に立っていた。
「……あ……え……」
「―――えっと」
ティファニアも予想外であったのか、ハッキリと言葉が出ずにぱくぱくと口を動かし立っている。薪割り場からの帰りなのだろうか、薪を両手で持った姿で石のように固まっている。まるで蛇に睨まれた蛙だ。いや、鏡に囲まれたガマガエルの方だろうか? だらだらと滝のように汗を流している。
「あ〜……持とうか?」
「ッッ!!」
士郎が声を掛けると、ティファニアはピクリと肩を竦ませる。その様子に士郎が苦笑を漏らすと、ティファニアは一瞬悲しげな顔をした後、
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