第八章 望郷の小夜曲
第四話 ハーフエルフの少女
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、あのカムランの丘での戦いの後、この世界にやってきたのだということであり、英霊ではなく、一個の人としてここに居るのだ。
そして、カムランの丘で受けた致命傷を治したのが、あのハーフエルフの少女であるティファニアだった。
彼女の持つ、いや持っていた先住の魔法が込められた指輪によって、死ぬはずだったセイバーを救ったのだ。
しかし、その指輪は既になくなっていた。無くしたのではなく、指輪の力を使いすぎたことにより消滅してしまったのだ。彼女はセイバーだけでなく、俺が以前撃ち落とした竜騎士を治療したことから、母親の形見でもあるという指輪をなくしてしまったのだ。
瀕死の者でさえ救う力を持つ指輪。
それがあれば、瀕死であった士郎を救えたのは頷けるが、しかし、肝心の指輪は、士郎が落とした竜騎士を救ったことでなくなってしまっていた。
それではどうやって士郎を助けたのかと言うと、
「しかしシロウが鞘を未だ身体に収めていたとは、てっきりリンか誰かに取り出されていたものだと思っていました」
「……否定したいが……否定出来ないな」
士郎の身体に埋め込まれた聖剣の鞘である遥か遠き理想郷によってであった。
士郎の身体の中にあるアヴァロンは、持ち主に不死と不老を与えるが、本来の持ち主でない士郎には、例え鞘に魔力を流し込んだとしても、応急手当程度の効果がなかった。しかし、そこに本来の持ち主であるセイバーの魔力を流し込めば、その力は止まっていた心臓を再度動かし、生き返らすことが出来るのだ。士郎の左手に令呪が残っており、なおかつそれが未だセイバーとのパスが繋がっていたことも幸いしていた。
「まあ、俺のことはどうでもいい。それよりも、どうやってティファニアから避けられないようにするかだが……何かいい考えがないか?」
「そうですね。一応誤解だと言った言葉は信じてはくれているみたいなんですが……まあ、元々彼女は子供達以外の相手を避けていましたから、シロウだけではありませんよ。私も最初は避けられていたものです」
「そうなのか?」
「ええ、ですが彼女が人を避ける理由は、相手が怖いと言うものもありますが、相手に忌避されるというのが恐ろしいというのが原因だと思います」
「忌避されるのが、か?」
セイバーが言っていることが分からず、士郎は首を傾げてみせる。
確かに彼女は信じられないほど美しいが、その美しさは忌避されるようなものではない。それどころかとても魅力的な女性だ。子供達への対応や普段の様子から、性格も優しく穏やかであり、慕われるのなら分かるが、忌避させるのは理由は分からない。
それとも他に、何か原因でもあるのか?
「ええ、以前彼女がハーフエルフだと説明しましたが、どうやらこの世界ではかなりエ
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