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剣の丘に花は咲く 
第八章 望郷の小夜曲
第四話 ハーフエルフの少女
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皿を取ろうとしたが、それは急に身体を引き寄せた士郎によって阻まれた。

「―――だがその前に」
「きゃっ?!」
「他の掃除も済ませておくか」

 突然士郎の胸に引き込まれたティファニアが顔を赤白に変えている間に、先程までティファニアが立っていた場所に矢が突き立つ。自分が先程立っていた場所に矢が突き立ったことに、顔色を今度を青白く変えたティファニアを抱きしめたまま、士郎は地面に突き立った矢ではなく、森の奥に顔を向けていた。
 
「さっさと出て来い、そこにいるのは分かっている」

 士郎の声は大きくはなかったが、不思議と広く森の中に響く。士郎の声が森の奥に吸い込まれるように消えると、森の中から汚れたみすぼらしい格好をした兵士が現れた。数は十人以上はいる。手に弓や剣、槍を持ち、剣呑な目を士郎たちに向けていた。

「おい貴様っ! 逃げるなよ、逃げたら殺すからな、そのままこっちに来い!」

 士郎たちに向け声が上がる。
 士郎が胸に抱いたティファニアを自身の背に隠すと、ティファニアが背中から士郎を不安気に見上げる。

「し、シロウさん」
「大丈夫だ。直ぐに終わらせる」

 不安に揺れる声を上げるティファニアに優しく笑いかけると、士郎は両手を上に上げると、ゆっくりと森に向かって歩き出した。
 
「よ〜し、いいぞ。変な真似はするんじゃねぇぞ。おいっ! そこにいる女もこっちに来るんだ!」

 士郎が素直に従っている事に安心したのか、兵士たちの視線が士郎からティファニアに移った瞬間。

投影開始(トレース・オン)

 空に向けて伸ばしていた士郎の両手の指の隙間に、合計八本の黒鍵の姿が現れ。

「! フッ!」

 兵士たちが異変に気づく間を許さずそれを投げつける。士郎の手から放たれた八本の黒鍵は、八条の黒い閃光となり、兵士の集団に襲いかかり。

「ごふっ?!」
「がっ?!」
「ぎっあっ!?」

 吹き飛ばした。
 黒鍵は一つも兵士の身体に突き立ってはいなかった。しかし、特別な投擲法により放たれ、音速に迫る速度で飛ぶ黒鍵は、兵士たちの間を通り過ぎただけで、その衝撃波で吹き飛ばした。全身を揺さぶるような衝撃により、兵士の集団は一人残らず昏倒してしまっていた。木々に叩きつけられたり等して気絶した兵士たちを、士郎は何処からともなく取り出した縄で縛り付けると、先程士郎たちに向け声をかけてきたリーダーだと思われる額に切り傷がある男の頬を叩いた。

「っあ! はっ?! い、一体何が」
「黙れ、喋べるな。お前は俺が聞いたことだけに答えろ」
「っ何を―――」
「黙れと言ったはずだ」
「っあ」

 激昂し、怒鳴り声を上げようとした男の喉元に、士郎は男が取り落とした剣を突きつける。
 男は喉元に感じ
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