第八章 望郷の小夜曲
第四話 ハーフエルフの少女
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はないんだが」
そう、このウエストウッド村(とは言っても孤児しかいないが)の代表と言ってもいい女性であるティファニアと、士郎は微妙な状況に陥っていたのだった。
何かを言い争うというわけではない。
ただ、
「避けられているだけなんだがな」
避けられているだけであった。
とは言え、孤児しかいないこの村のセイバーを除く唯一の大人と言ってもいいティファニアは、随分と子供たちに好かれているようで、そのためか、ティファニアを慕う子供たちから色々と嫌がらせという名の悪戯を仕掛けられてしまっていた。子供の悪戯と笑って済ませてしまいたいのだが、『塵も積もれば山となる』という諺通りと言うか、小さなことからコツコツと言うか、まあ、色々と支障をきたしてしまっていた。具体的には、食事を盗み食いされるため食事が取れない、セイバーが用意してくれた服を隠されてしまったため外を出歩けないなど……あ〜……そう言えばデルフも子供たちに隠されているようだが……ま、いっか―――問題はないしな。
だがまあ、原因は分かってはいる。
「……誤解だと言ってくれたんだよな」
「言いました」
俺がセイバーを押し倒したところを見られたのが原因だろう。
それからと言うもの、ティファニアに近寄ろうものならば、小さな悲鳴を上げ逃げられる始末となってしまった。セイバーに言われるまでもなく、もちろん前から何とかしようとしていたがどうも上手くいかず、つい先日セイバーに間を取り持ってもらったが……セイバーのこの様子だと、どうやら上手く言ったとは言えないようだが。
「俺も仲良くしたいと思ってはいるんだが、少なくとも、普通に話しが出来るようには」
「……ティファニアは綺麗ですからね」
「ん? ああ確かにティファニアは綺麗だが? それがどうかしたのか?」
「……いえ、なんでもありません」
セイバーの言っている意味が全く分からないと言った様子で首を傾げる士郎に、セイバーは小さく溜め息を吐きながら呆れた顔を見せる。
士郎はそんなセイバーの様子に全く気づく様子を見せず、ポリポリと頭をかく。
「それに、セイバーを救ってくれた礼をちゃんと言いたいしな」
「……そうですか」
心なしか、頬を赤く染めたセイバーが士郎から顔を背ける。
そんなセイバーを、隣りを歩く士郎は優しい目で見つめる。
士郎は最初、セイバーは英霊として召喚されたものだと考えていた。
しかし、それは違った。
セイバーから話を聞いて驚いたことに、セイバーは英霊として召喚されたのではなかったのだ。カムランの丘の戦いの後、エクスカリバーを湖の貴婦人に返し、後は死を待つのみと瞼を閉じたセイバーが、次に目を覚ました時、この世界、ハルケギニアにいたのだった。
つまりセイバーは
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