暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
第八章 望郷の小夜曲
第四話 ハーフエルフの少女
[1/21]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話






 深い―――深い緑が目に優しい森の中。

 生い茂る緑の隙間から、朧に輝く光が差し込み。

 淡く甘い香りを纏う風が吹き抜ける。

 優しい―――世界。

 そんな中―――



「ッァアアアアアアアアッッツ!!」
「ハアアアアアアアアアッッ!!」



 ―――全てを破壊する―――



「オオオオオオオオアアアァァァァッッ!!!」
「オオオオオオオオオオオオォォォッッ!!!」

 

 ―――剣戟が響く。



 




 















「やはり強いなセイバーは」
「いえ、こちらこそ驚きました。驚く程強くなりましたねシロウ」

 背中で一纏めにした金色の髪をゆらゆらと揺らしながら、セイバーが隣りを歩く士郎を見上げながら感心したようにうんうんと頷く。
 頷くたびにびょこびょこと跳ねる金の髪に視線を向けながら、士郎は苦笑を浮かべる。

「勝てなかったがな」
「ふふ、流石にそう簡単に勝たせる理由がないでしょう。一応はあなたの師匠でもあるのですから」
「……まだまだ勝たせてはくれないか」

 不敵な笑みを浮かべるセイバーに、やれやれと肩を竦めてみせる。
 疲れたような表情を浮かばせる士郎に、セイバーが「ふむ」と顎に手を当てて軽く唸る。

「しかし、今回私が勝てたのは、互いの獲物が木刀だからでしょう。それでなければ、違う結果になっていたかもしれませんね」
「それはセイバーも言えるんじゃないのか」
「もちろんです」

 何を当たり前のことを聞くんですか? と不思議な顔をするセイバーの様子に、ハハハと乾いた笑いを浮かべてしまう。
 暫くの間、サクサクと草を踏みしめる音だけが響く無言の時が過ぎる。
 互いの顔には、優しい笑みが浮かんでいた。深い緑の匂いが混じる、さわやかな風が、汗に濡れた火照った身体を程よく冷やす。

「身体は全く問題ないようですね」
「ん? そうだな。痛みもないし動きも悪くはない。まあ、目が覚めた時には既に怪我は完治していたようだったがな」

 俺が目を覚ましてから、既に三日が経っていた。
 その三日間で、セイバーから色々と話しも出来とことから、互いの状況をある程度把握は出来た。
 話す内容はそれ程多くはなく、一日もあれば十分であったが、では何故三日間も掛かったのかと言うと……周りの状況がそれどころじゃなかったからだ。
 
「それでですがシロウ」
「……なんだ」

 横を歩く士郎に顔を向けず、横目で睨み付けるように士郎を見上げるセイバーに、士郎は困ったように顔を顰めてみせる。

「そろそろティファニアと仲直りしてください」
「……喧嘩した覚え
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ