第八章 望郷の小夜曲
第四話 ハーフエルフの少女
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深い―――深い緑が目に優しい森の中。
生い茂る緑の隙間から、朧に輝く光が差し込み。
淡く甘い香りを纏う風が吹き抜ける。
優しい―――世界。
そんな中―――
「ッァアアアアアアアアッッツ!!」
「ハアアアアアアアアアッッ!!」
―――全てを破壊する―――
「オオオオオオオオアアアァァァァッッ!!!」
「オオオオオオオオオオオオォォォッッ!!!」
―――剣戟が響く。
「やはり強いなセイバーは」
「いえ、こちらこそ驚きました。驚く程強くなりましたねシロウ」
背中で一纏めにした金色の髪をゆらゆらと揺らしながら、セイバーが隣りを歩く士郎を見上げながら感心したようにうんうんと頷く。
頷くたびにびょこびょこと跳ねる金の髪に視線を向けながら、士郎は苦笑を浮かべる。
「勝てなかったがな」
「ふふ、流石にそう簡単に勝たせる理由がないでしょう。一応はあなたの師匠でもあるのですから」
「……まだまだ勝たせてはくれないか」
不敵な笑みを浮かべるセイバーに、やれやれと肩を竦めてみせる。
疲れたような表情を浮かばせる士郎に、セイバーが「ふむ」と顎に手を当てて軽く唸る。
「しかし、今回私が勝てたのは、互いの獲物が木刀だからでしょう。それでなければ、違う結果になっていたかもしれませんね」
「それはセイバーも言えるんじゃないのか」
「もちろんです」
何を当たり前のことを聞くんですか? と不思議な顔をするセイバーの様子に、ハハハと乾いた笑いを浮かべてしまう。
暫くの間、サクサクと草を踏みしめる音だけが響く無言の時が過ぎる。
互いの顔には、優しい笑みが浮かんでいた。深い緑の匂いが混じる、さわやかな風が、汗に濡れた火照った身体を程よく冷やす。
「身体は全く問題ないようですね」
「ん? そうだな。痛みもないし動きも悪くはない。まあ、目が覚めた時には既に怪我は完治していたようだったがな」
俺が目を覚ましてから、既に三日が経っていた。
その三日間で、セイバーから色々と話しも出来とことから、互いの状況をある程度把握は出来た。
話す内容はそれ程多くはなく、一日もあれば十分であったが、では何故三日間も掛かったのかと言うと……周りの状況がそれどころじゃなかったからだ。
「それでですがシロウ」
「……なんだ」
横を歩く士郎に顔を向けず、横目で睨み付けるように士郎を見上げるセイバーに、士郎は困ったように顔を顰めてみせる。
「そろそろティファニアと仲直りしてください」
「……喧嘩した覚え
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