第四十五話 二度目の激突その二
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「それはあるよね」
「そうよね。それじゃないかしら」
「その可能性は高いね」
上城は樹里の推理を肯定した。そうしてだった。
ロシアパンを食べ終えアンパンを食べながらこう言った。
「同じ味だからね。あのお店と」
「そうよね。だからよね」
「うん。とにかくパンもね」
上城はアンパンも実に美味そうに食べながら言う。
「いいよね」
「そうよね。美味しいわよね」
「僕どっちかっていう御飯が好きだけれど」
「私もよ」
二人共だった。実はお昼にしても普通は御飯なのだ。
「けれど時々はこうしてね」
「パンもいいわよね」
「パンって何ていうかね」
「手頃っていうか?」
「お箸使わなくても食べられるから」
だからいいというのだ。
「そうよね」
「うん、だからね」
「時々はこうして」
「食べたらいいわよね」
こうした話をしながら二人で食べていた。それからだった。
屋上から自分達のクラスに戻った。するとだった。
クラスメイト達が新聞を開いて話をしていた。見るとその記事は。
「ああ、また負けたんだ」
「朝ニュースで聞いたけれど」
スポーツ欄だった。そこを見て二人はすぐに顔を曇らせた。
「阪神負けたんだ」
「最近特に負けるわよね」
「というか最近連敗続くなあ」
「もうちょっとどうにかならないかしら」
「星野いないと駄目だよね」
「やっぱり厳しい人って必要なのね」
二人は新聞を開いているクラスメイトのところに行きながら言っていく。
「これじゃあそのうちまた最下位だよ」
「横浜があってもね」
「こういうのも油断大敵だから」
「何とかして欲しいわね」
こうした話もするのだった。教室では。
日常もあった。しかしそれでもだった。
日常とは別の戦いもあった。それは部活が終わるとすぐにだった。
下校中の上城、樹里の隣にいる彼の前に加藤が来た。加藤は上城の姿を見て鋭い目でこう言ってきたのだった。
「偶然だな」
「そうですね」
上城は警戒する目で加藤に返す。丁度八条学園の校門を出たところだ。
そこで会いだ。こう返したのである。
「まさかここでお会いするなんて」
「たまたまな」
「たまたま?」
「母校に来ただけだ」
こう上城に言うのだった。
「俺のな」
「母校っていいますと」
「俺は八条大学を出た」
そうしてだというのだ。
「八条大学をな」
「そうなんですか」
「俺はこの大学を出て今はだ」
「今は?」
「楽しく過ごしている」
卒業した後はそうしているというのだ。
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