第三十四話 征途
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明正大である事よりも危険を少なくして周囲を安心させる事の方が重要だろう、統治者の務めだよ。周囲を必要以上に緊張させる事に意味は無い……。この後、公に連絡するんだろう?」
『……まあ、総参謀長閣下にね』
ミュラー提督が曖昧な表情で頷いた。
「なら伝えて欲しいね、順番を卿、私、公に変えてくれと。このままでは昼寝も出来ない」
黒姫の頭領が肩を竦める仕草をするとミュラー提督が困ったような表情をした。
『ローエングラム公が後ろだが卿を攻撃すると心配はしないのか? 誰かが公の部下を唆すかもしれないぞ』
ミュラー提督の言葉に頭領が首を横に振った。もしかすると苦笑しているかもしれない。
「公は卑怯という言葉とは無縁の人だ。それを分からずに私を攻撃した人間は生きている事を後悔することになるね、それでも良ければやってみる事だ」
うわっ、頭領は怖い事を言う。司令部の要員は皆顔を強張らせているよ。
『……了解した、総参謀長閣下に伝えよう』
ミュラー提督が敬礼すると頭領はバイバイというように手を振った。それを見てミュラー提督がまた苦笑した。
通信が切れると黒姫の頭領は指揮官席を回して皆の方を向いた。
「参謀長、聞いての通りです。ローエングラム公より隊列の順番を変えると命令が有ると思います。準備をしておいてください」
「承知しました。しかし、本当にそうなりますかな」
参謀長はちょっと懐疑的だ。心持ち首を傾げている。
「さあ、何分見栄っ張りな所が有りますからね、後は総参謀長閣下の尽力に期待しましょうか」
そう言うと黒姫の頭領はクスクス笑い出した。あーあ、また皆渋い表情をしている。頭領だけだよ、ローエングラム公を笑えるのは。ハラハラしてきた……。
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