第三十四話 征途
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ョッカイをかけてきた馬鹿な海賊を始末した事、もう一つはイゼルローン要塞の攻略戦。ああ、あとアムリッツアで補給船の拿捕も有ったな。最初の海賊の始末の時にはこっちにも死傷者が出た。遺族への見舞金、補償金とか大変だった。なにより罪悪感が酷かった。あれで戦争はすべきじゃないと思ったね。後の二つは損害はゼロだ、ホッとしたよ。
俺の乗っている艦、マーナガルムはヨーツンハイム級の三番艦だ。ヨーツンハイム級と言えばケンプの座乗艦ヨーツンハイムとレンネンカンプの座乗艦ガルガ・ファルムルがある。デカイ戦艦で帝国軍最大級の戦艦、個艦性能も最強クラスと言われている。俺のマーナガルムはどちらかと言うとガルガ・ファルムルに似ているらしい。
マーナガルムの特徴は通信機能を充実させた事、もう一つは司令部要員の席を用意させた事だ。どちらも俺が要求したんだがその辺りは同盟の艦に似ているかもしれない。海賊の俺が指揮官席に座っていて参謀連中が立っていると面白くないだろうからな。席を用意させたんだが慣れない所為だろう、皆居心地が悪そうに座っている。
マーナガルムは北欧神話に登場する狼だ。「月の犬」を意味するらしい。人間の国ミズガルズの東にある森イアールンヴィズに一人の女巨人が住んでいてこの女巨人が沢山の巨人を産んだんだが、それは皆狼の姿をしていたと言われている。天空で太陽を追う狼スコル、月を追う狼ハティもこの女巨人が生んだ狼だ。
この女巨人だがアングルボザだと言う説も有る。だとすると父親はロキで妖狼フェンリルは狼達の兄弟ということになるんだがどうもこのあたりははっきりしない。この女巨人、どうやら子供の躾が下手な女だったようだ。子供達は不幸な家庭環境で育った所為で、皆グレてしまったらしい。
女巨人が生んだ狼の中で最強の狼、つまり一番のロクデナシ、不良狼がマーナガルムだ。フェンリルより強いのかどうかは分からんが全ての死者の肉を腹に満たし、月を捕獲して天と空に血を塗ってしまう、そのため太陽が光を失ってしまうと言われている。良く分からんが日蝕の事なんだろうと思う。ロクな事をしない奴だ。
そんな名前の艦を寄こすとは嫌がらせだとしか思えない。ラインハルトからみれば俺もマーナガルムもロクな事をしないという一点で同類なんだろう。考え過ぎとは思わない、艦の横っ腹には疾走する黒い狼の絵が描いてある。ラインハルトの命令だそうだ。
フェザーンには月末頃に着くだろう。新年のパーティをしてから同盟領に侵攻する事になっている。この辺は原作と同じだな。地球教がテロとか仕掛けなければ良いんだが……。さて、この先どうなるか、ハッピーエンドに向かってはいるがハッピーエンドで終わるかどうかはまだ分からない……。
帝国暦 489年 12月 9日 マーナガルム コンラート・フォン
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