第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
食べられて、キスされて、殴って
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。
『これは好都合ですね。陛下から伝言です。レイフォンさんを王宮庭園に向かわせて欲しい、とのことです』
「ガキの遊びに付き合っている暇はない」
バッサリとリンテンスは言い切る。
事実、老生体という驚異がすぐそこまで迫っているのだ。たかが、個人の思い込みからの反乱に介入する気は毛頭ない。……はずだった。
『それが……シキさんを人質にとっているようなのです』
「ほう」
眉を曲げたリンテンスは無音で鋼糸を操作する。
そしてレイフォンの様子を見ていた鋼糸を老生体の周囲に張り巡らす。
「陛下に伝えろ。……二分待てと」
『了解しました』
そして蹂躙が始まった。
時間は少しだけ戻る。
アルシェイラは目の前の光景をつまらなそうに見る。
そこにはたった一撃で戦闘不能になった複数の武芸者がいる。
もちろん、先程まで戦っていた天剣の面々である。傷を見る限り、致命傷にまで至っていないようだが、誰ひとり立てない状況であった。
手加減した一撃で、だ。
アルシェイラが本気になっていたのなら、今頃天剣はおろかこのグレンダンという都市は地上から姿を消していただろう。
それほどまで女王の力は強大だ。
「まっ、誰も死ななかったのだから及第点ね」
「こ、れほど……とは」
唯一、カルヴァーンだけが血反吐を吐きながら喋った。
残りもなんとか意識があるようだが、しゃべれるほど回復していない。
「まったく、わたしのせいでもあるんだろうけど、あんたら我慢しなさすぎ」
「へ、陛下、どう、か、ご寛恕を」
なんとか立ち上がったカルヴァーンは、アルシェイラに跪く。
元々、カルヴァーンは負けるつもりもなかったが勝つつもりもなかった。
王家の人間に勝てば、それはグレンダンの混沌の始まりであり、来るべき戦いに女王という因子は必ず必要だからだ。
だからこそ、許しを請う。
その行動に意味があったのかわからないが、アルシェイラは目を閉じて考え、こういった。
「これからサイハーデンの武門は拡大する。援助金出す気だったけど、あんたら出しなさい」
「陛、下!」
「こんなくだらないガキの遊びで、剣を折るつもりはない……ん?」
その時のアルシェイラの顔を、天剣たちは忘れることはできないだろう。
そして天剣たちも忘れることが出来ないだろう。
そこに『あった』のは――
「これはこれは女王陛下、汚らしいものを見せてしまい申し訳ありません」
左腕を切り落とされ、腹部を錬金鋼に貫かれているシキと錬金鋼を手に持ったミンスの姿だった。
次に目が覚めたシキの目の前に広がっていたのは、漆黒の空間だった。
またか、とシキはため息を吐きながら自分の身体の調子を確かめる。
「……てか、俺は起きてるのか? この前もそう
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