第一幕その六
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ーザが前に出て来て応えてきた。
「私がその宿屋のおかみです」
「ほう、お若いですね」
伯爵は彼女を見てまずはこう述べた。
「それにとても美しい人だ」
「嫌ですわ、褒めても何も出ませんよ」
そう言われて思わず顔が真っ赤になってしまった。
「そんなことを仰っても」
「いえいえ、これは本当のことですよ」
「またそんなことを。それでなのですけれど」
「ええ。それで宿屋は何処ですか?」
「あちらです」
こう言って村の向こう側を指し示した。そこに一軒の質素だが堅実な外観の宿屋があった。彼女はそこを指差してみせたのである。
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