暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
コラボ
〜Cross storys〜
episode of cross:進退
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げぇ、と最悪の気分で湖の水で口の中をゆすいでいると

「ほれ」

何かが顔の横から突き出された。見ると、素朴なパンのようだった。

鼻の奥に焼いたパンの香ばしい香りが、爽やかに入ってくる。空きっ腹が本能にあっさり反旗を翻して、ぎゅるる〜っ、と鳴いた。

振り向くと、自分の分のパンを口いっぱいに詰め込んだシキがいた。

「食うか?」

「お、おぉ。サンキュ」

受け取って、口に頬張る。

香ばしい香りとともに、サクサクとした心地の良い食感が口の中に広がった。パンの素朴な味の中に、ごってりとしたクリームの味が何とも奥ゆかしい味わいを醸し出している。

「うめぇ……!」

「だろ?携帯食では俺のお気に入りだ。それより来いよ。ホークが作戦会議を始めたいってさ」

「わかった」

その食感を楽しみつつ、ゲツガは立ち上がった。










「へぇ………、来れたのかァ」

へばりついたような笑みを浮かべながら、《ヒト》はそう言った。

漆黒の翼で空中に浮かびながら、そう言った。

地上から四十メートル辺りに浮かびながら、そう言った。

前方、眼下に並ぶ五人の影たちを見下しながら、そう言った。

アインクラッド第二十層主街区《サンカレア》の町並み。のどかな農家が立ち並ぶそこは、今や禍々しい魔力が渦を巻き、一種異様な気配が立ち昇っているような気がする。

昨日にレーザーで砕かれた瓦屋根の家は、いまだ砕かれたままだ。ぽっかりと穴が穿たれたままの屋根が、痛々しく残っている。

男にも、女にも、聖人にも、囚人にも、人間にも、機械にも見える《ヒト》は嗤った。それに負けないくらいに笑い、最初に口を開いたのはセモンだった。

「はぁ?お前あれで俺たちを止めれると思ってたのか?」

次に口を開いたのは、ゲツガ。

「おいおい、どんだけ俺らを知らねぇんだよ。あいつバカか?」

「……………………………」

ピキッ、とこめかみの辺りをひくつかせるソレの前で、今度はシキ。

「なら仕方がないなぁ。脳みそがない奴には、何言っても無駄だろう」

次はレン。

「そもそもあいつ、言葉が分かってるの?意思疎通ができてないような気がするんだけどね」

最後にホーク。

「まぁ、どっちでもいい。要するにあのちっこくて弱そうなのをブッ飛ばせば終わりなんだからよ」

ブチッ、と何かが切れたような、絶対に切れてはいけないものが切れたような音がした。砕けんばかりに噛み締められた歯。その奥から軋るような声が漏れた。

コロス、と。

瞬間、ソレの周囲にあの即死級レーザーの光球が数十個出現した。即座に直径だけでも人の身長くらいあるレーザーがいくつも放たれる。

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