第一幕その三
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第一幕その三
「勇敢な若者よ」
「幸福な若者よ」
今度は若者を讃えていた。
「王様よりも王子様よりも幸福な美しい若者よ」
「愛は君を選んだのだよ」
「清純と美の宝を」
それをだという。
「誰も手に入れられなかったそれを」
「この世に秘められた全ての富を」
「本当におめでとう」
こう言うのであった。
その祝福する彼等の前に一組の男女が現われた。
女の方は若く背が高く美しい娘であった。鼻が高く目ははっきりとしていて強い黒い光を放つ黒檀の目だ。髪もまた黒くそれを後ろでまとめている。白い花嫁の服で着飾りそれがとても美しい。その手にはもうブーケがありそれを大切そうに持っている。
その彼女の横には茶色の髪に貴公子の如き整った顔立ちの青年がいた。背は娘よりやや高い。目にも口元にも気品がありやはり白い立派な服を着ている。この二人が出てきたのだ。
「おめでとう、アミーナ」
「ええ」8
アミーナと呼ばれた美女が周りの声に満面の笑顔で応えた。
「おめでとう、エルヴィーノ」
「どうも」
そして青年も応えた。二人の後ろには優しい顔立ちの初老の女が控えている。
その彼等が皆に囲まれてだ。幸せそのものの顔をしているのであった。
「皆さん、どうも有り難うございます」
「やっと二人になったな」
「そうね。長いようで短かったけれど」
「それでもね」
そんな話をしながらであった。皆満面の笑顔であった。
アミーナはその彼等に。さらに話すのであった。
「私の喜びを共に祝って下さって。それが何よりも嬉しいわ」
「それでは皆で」
「もっと祝おう」
「そうだね」
こんな話をしながらアミーナは。後ろに控えていたその初老の女に顔を向けて言うのだった。
「お義母さん」
「ええ、アミーナ」
「ずっと一緒だったわね」
「そうね」
こう声をかけるのだった。
「本当にね」
「そういえばテレサさんがね」
「そうだよな」
村人達はテレサについて話をしながら述べた。
「アミーナを拾ってからもうかなり経つな」
「そうよね」
「この日の為に私の喜びを話させて下さい」
「何かしらアミーナ」
テレサも満面の笑みでアミーナに応える。
「それで」
「私の涙は私の目からよりも心から流れているの」
「それはどうしてなの?」
「皆がいてくれて。特に」
義母を見てさらに言うのであった。
「お義母さんも一緒にいてくれるから」
「私が一緒に」
「この素晴らしい門出に一緒で」
愛する義母と共にいることがまず第一なのだった。
「この地上は何と美しく快い花に満ちているのでしょう」
こう言っていく。
「自然は決して幸福そうな顔付きに燃えてはいませんが」
「それでも?」
「それでもなんだね」
「
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