土砂降りの雨
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宝箱の底に草を敷き詰め、スラ子の家は完成した。
「キュー♪」
御満悦のスラ子。
中を覗くと、集めた枝も入っている。
巣作りをしない今、必要ない物だ。
何故捨てないのか?
「キュー。」
スラ子には思惑があった。
あの人間の少女と、また交換する為に。
・・・じゅるり。
よだれ!
スラ子、よだれ出てるよ!
というかね。
少女がもう来ないとか、薬草以外と交換とか。
そんな事は考えないのか。
「キュ?」
雫がスラ子の頭に落ちた。
「キュ?」
また落ちてきた。
空を見上げれば、どんよりとした曇り空。
次々と雫が降ってくる。
雨だ。
「キュー!」
慌てて、宝箱の蓋を閉めるスラ子。
真っ暗になるが、濡れるよりはいい。
雨は勢いを増し、土砂降りの雨になった。
そして・・・。
ピカッ!ゴロゴロ!と、光り鳴り響く雷。
「キュ、キュー。」
スラ子は震えた。
縮こまった。
実は1度だけ、木に落ちたのを目撃している。
魔法を上回る自然の脅威。
それ以来、雷が怖いのだ。
ただひたすら、早く晴れる事を願うスラ子。
一方、外では・・・。
「ちくしょう!降ってきやがった!」
「だから言ったじゃない!急ごうって!」
雨の中を1組の男女が走っていた。
2人とも人種だが、人間ではない。
異なる人種だ。
女性は青色の肌で、身体に魚の様な特徴がある。
ウェディと呼ばれる一族。
男性は褐色の肌で、身体から角が生えている。
オーガと呼ばれる一族。
「話は後だ!レーンの村に行くぞ!」
「オッケー!って、ちょっとまって!」
「どうした!?」
「何か落ちてる・・・赤い宝石!?」
「誰かの落とし物か?」
「さぁ、分かんない、あっ。」
「今度は何だ?」
ウェディの女性は指を差した。
その先にあったのは・・・。
「あそこに宝箱がある。」
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