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シンクロニシティ10
最終章
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ムを上げて聞いておいてくれ。」
こういうと、榊原に目配せした。石田の言葉を聞いて、榊原はすぐに理解した。いやに明瞭な言葉使いで怒鳴った。
「おい、石川、石川警部。何故瀬川と坂本を殺した。何故なんだ。」
しばら時間を置いて石川が反応した。石田は携帯を手摺の端まで持っていった。
「いろいろとあってな、一言では言えん。まあ、生きるためだ。」
「声が小さい。ちっとも聞こえん。」
石川が怒鳴った。
「しかたがなかったんだ。こいつらに脅された。やるしかなかった。」
別の声が聞こえた。
「おい、榊原、もうちょっとだ。もうちょっとで、貴様の死に顔が拝める。俺が誰だか分かるか。」
「笹岡さんか。惚けやがって。」
「ふん、もう少し俺に食らいついていたら、瀬川と坂本は死なずに済んだ。榊原、お前さん、刑事としては失格だ。」
「うるせー、いつか敵は取る。それより飯島、何故、瀬川と坂本を殺した。」
飯島だけは隠れることもなく、うずくまる親父さんに銃を向けて立っている。その薄い唇が開かれた。
「目障りだったのよ。あのマンションの地下は倉庫だ。1階のお前等が見張っていた部屋の裏が出入り口になっていた。北から大量のブツが入荷したんだ。」
「なるほど、そういうわけか。」
「そうだ、坂本が一緒だったのはこっちにとって一石二鳥だった。本命はあくまでもお前さんだった。お前は知り過ぎたんだ。DVDを含めてな。ところで、おい、銃の弾は何発残っている。こっちにはいくらでもある。もう少しの辛抱だ。もう少しで貴様を地獄に送ってやる。」
「高嶋方面本部長が貴様等の親玉か。」
「親玉、ずいぶんと古臭い言葉を出してきたもんだ。まあ、そんなもんだ。」
「本部っていうのは何だ。」
「ふん、お前等が知る必要はない。」
 このとき、男が音も無く階段を上がってきた。石田が気配を感じて階段までにじり寄った。一瞬顔を出すと、男が銃を発砲した。銃弾は手摺に当たってそれた。石田は頭を引っ込め、銃だけ出して応戦した。男が階段から落ち、どさっという音がした。
 石田がそれを確認しようと頭を上げた時だ。下から石川警部が狙いをすまして撃ち込んだ。銃弾は石田の耳元をかすめた。石田が振り返りざま撃ち返した。石川が肩を押さえて倒れ込んだ。榊原が目を丸くして言った。
「おいおい、お前うまいな。やったことあんのか。ワシは当たったためしがない。」

 一方車の中では、小野寺が椅子に座らされ、一人の男が後ろで銃を構えている。その横のコンピュータの前に、先ほどの学者然とした男が座り込んで画面を食い入るように見詰めている。男が、長い息をはいて言葉を発した。
「すごい情報だ。私もコピーが欲しいくらいだ。」
「先生、間違いないのですね。」
「ええ、日本の
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