第二十一章
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てきてすぐにタクシーを拾った。玄関で待機していた親父さんがやはりタクシーに乗って後を追った。その連絡を受け、合同庁舎三号館に駐車していた石田が車を急発進させた。
榊原は桜田門駅前で地下鉄を張っていたが親父さんの連絡を受け、クラクションを響かせ疾走する車を避けながら内堀通りを渡り切った。しばらくすると、白いカリーナが急停車してドアが開かれた。榊原は飛び乗ると携帯のボタンを押した。
「親父さん、タクシーは何処に向かっている。日比谷通りを右折だな。分かった。このまま携帯は切らずにいてくれ。」
石田がアクセルを踏み込んだ。
「おい、石田、どうも昨日、偽警官がお前達を連れていこうとした場所に向かっているような気がするが、どう思う。」
「ああ、確かに方角は一緒だ。恐らく昨日の今日だから場所を確保出来なかったのかもしれない。」
「しかし、それでは、あまりに安易過ぎないか。」
「いや、奴等が俺達の動きに翻弄されて余裕を失っているのかもしれない。ましてGPSの情報を得ることは至上命令だ。俺と晴美を餌に小野寺をおびき出す場所を翌日また使うというのも、止むおえない処置なのかもしれない。」
案の定、西新橋を左折し、しばらく行って都心環状線に乗った。間違い無く昨日の道だ。親父の携帯でのナビゲーションに従って疾走する。追い付く必要はないが、出来るだけ距離を詰めておきたかった。石田が携帯のリダイアルを押す。
「どうです、地下室はみつかりましたか。」
「いや、もう少しのようです。」
この時、車内の榊原が大声を張り上げた。
「おい、石田、高嶋方面本部長が埠頭公園で降りて歩いているそうだ。そして右に曲がった。親父の車はそこ通過して先で駐車した。今度は俺達の出番だ。」
「よし、分かった。この先だな。」
車内の会話を韮沢が聞きつけすっとんきょな声をあげた。
「おい、おい、石田さん。あんたが言っていた北のスパイってのは、まさか高島方面本部長ってわけか。」
「ああ、聞こえましたか。その通りだ。高嶋方面本部長だ。」
「まずいよ、それはまずい。あいつはキャリアだ。もし間違いだなんてことになったら、俺は左遷だ。」
「そんな馬鹿な話があるか。あんたは捜査一課長だろう。」
「一課長だろうが二課長だろうが、関係無い。おいおい、とんでもないことになっちまったな。兎に角、まずは地下室発見が先だ。それが出てくるまでこっちは手も足もだせん。」
「おい、おい、それはないだろう。多勢に無勢だ。あんた等の助けがいる。」
「それは地下室が見つかってからだ。」
電話は切られた。高嶋方面本部長と聞いて相当ぶるっている。石田は愕然とした。
ようやく埠頭公園が見えた。しばらく走ってゆっくりと左折する。左手に埠頭第一倉庫と書かれた倉庫があ
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