第二十一章
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る。明らかにGPSのMDから新薬のMDが摩り替わっている。これが出来る立場にいたのは奴だけだ。」
「それは公安関係者でも出来る。」
「まあ聞けよ、親父。二つ、モンスターの情報がすぐに敵に漏れた。三つ、ワシが尾久のマンションを見張っていたのを敵は知っていてワシらに罠を掛けてきた。この二つ目と三つ目の両方の情報を知っていたのは高嶋だけだ。」
親父さんが口をもごもごさせている。榊原は父親の不満を理解し、すぐに反応した。
「モンスターのことはMDの解読にあたった公安課長や製薬会社を調べた捜査二課長も知っていた可能性があると言いたいのでしょう。だからワシは二つ目と三つ目を同時に知っていたと言ったんです。」
親父さんはぷいと横を向いた。
「四つ、和代さんの事件は今から20年前だ。ってことは年零がぴったり一致する。五つ、奴は、さっきも言ったが、大学ではないが高一で天涯孤独になった。友人が下した結論と一緒だ。六つ、奴が入れ替わったとするなら、東京に出てからだ。でも、どうしても郷里の言葉を覚えなければならず、一年か二年山形で暮らしたはずだ。ところで、犬山という山形出身の警部補から聞いたんだが、奴と話すときは山形弁で話すらしい。」
親父さんは意味が分からず、つい口をきいてしまった。
「それがどうした。」
「さっき、小野寺さんが言わなかったかい。三人の少年は語学の天才だったって。」
石田が思わず賞賛の声を上げた。
「つまり、山形弁を一二年でマスターしたってわけだ。それを今でも自由に操っている。榊原、お前の推理は完璧だ。それしか考えられない。すばらしい推理力だ。」
親父さんがむっとした顔で言った。
「まったく、お前って奴は、他の所は全く駄目だったが、そんな所だけワシに似やがって。」
榊原が言い返した。
「誰に似たって?ワシはお袋似だ。お袋には何の隠し事も出来なかった。だが、あんたはワシの思いなんてこれっぽっちも分かっていなかった。」
「分かった、分かった、もう何遍も聞いて、耳にタコが出来てる。ワシがゴマスって出世したと言いたいんだろう。神経の細いカミサンを犠牲にしたっていう、お前のガキ並の持論はもう聞き飽きた。」
親父さんがぷいと横を向いてふて腐れた。
榊原の唯一の友人から連絡が入った。高嶋方面本部長は13時から15時半まで方面部長会議、そして16時には私用で出かけるとのこと。榊原は自分の勘が当たっていることを確信した。私用に入る時間は、飯島が小野寺に電話を入れるのと同じ時間だ。
その友人は、高嶋のその日の行動予定と公用車を使用するか否かの二点だけは確かめると約束したのだ。そして時間をおいて公用車は予約されていない旨連絡してきた。これだけ分かれば十分だった。
高嶋は午後4時、正面玄関から出
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