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シンクロニシティ10
第二十一章
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。公判が始まれば、彼は供述を覆すでしょう。自白を強要されたと言ってね。」
「そして、アリバイを証明する人間が現れるって寸法だな。」
「その通りです。」
突然親父さんが割り込んだ。
「お前の推理が鋭かったってことは十分に分かった。いいか、ここで問題なのは三人目が誰なのかということだ。それが分からなければ、お前さんの推理がどうのこうのと言ったって始まらん。そして入れ替わったのなら、その本人はどうなったかだ。違うか?」
榊原が振り返り、二人はお互いに睨み合った。親父さんは晴海救出に置いてきぼりにされたのをまだ怒っている。
「親父さん、その三人目なら、ワシはもう目星をつけてる。それに本物の丸山亮は少なくとも偽者が大学4年生になるまで生きていた。毎月手紙を送っていたんだ。お袋さんが死ぬ直前まで手紙を書いている。」
小野寺がそれに答えた。
「鹿児島で少年が拉致されたという噂を聞いたことがある。恐らく手紙は北朝鮮で書いたものでしょう。」
「そしてお母さんは殺されたってことか。」
「ええ、そういうことです。北朝鮮スパイが日本人に入れ替わるための最後の仕上げです。一番重要で厄介な証人を生かしておくはずがない。」
「ひでえことしやがる。小野寺さんは、彼等はその後どうなったと思う。」
「分かりません、ただ言えることは、きっと三人とも北朝鮮で生きていたと思います。母親と時々連絡をとるために。しかし、利用価値があるのは母親が生きているうちだけです。母親の死後、生き延びることが出来たか否かは、これは個人の運としかいいようがありません。」
「ワシの記憶がただしければ、石神井の石橋順二は大学時代、母親とは没交渉だった。そして二年生の時母親は死んだ。その三人目は母一人子一人だったが、高一の時母親を失っている。」
これを聞いて、親父さんは興味津々の様子だが、行きがかり上、催促出来ずにいる。しかたなく石田が促した。
「その三人目って言うのは誰なんだ。」
「名前は高嶋信吾。警視庁の方面本部長だ。警察庁キャリアでもある。」
「何故、そいつがその三人目だと思うんだ。」
「以前、ワシは友人に頼んで、鴻巣と石神井の被害者の共通項を調べてもらったことがある。そいつも刑事だが、そいつの結論は、二人とも大学生の時に天涯孤独に陥っていると結論した。今日、それを思い出したんだ。そしたら、すらすら謎が解けてきた。」
石田が口を挟む。
「三人目の高嶋信吾も、片親で高一の時、その母親も亡くなった。つまりその刑事の話と一致しているというわけだ。」
「実はそれだけじゃない。三人目を特定する根拠はいくつもある。一つは、高嶋はMDを擦りかえられる立場にいた。つまり高嶋はMDを公安に回し、公安はMDを解読して製薬会社の新薬に関するものだと報告してい
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