第二十一章
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なフロピーは韓国側に渡っていないと判断した。何故なら韓国側がその秘密を必死で探っていたからだ。」
今度は石田が聞いた。
「つまり…?」
「いいか、最初の鴻巣の丸山を襲ったのは、一人は岡山、もうひとりは血を見て嘔吐した素人だ。岡山がフロピーを入手し損なったのなら、この素人がフロッピーを隠し持っている可能性がある。しかし、その素人は何故か韓国側にそれを渡してはいない。つまりその素人は、どっち側でもないってことだ。」
三人が榊原を見詰める。
「一方、モンスターは北側が洋介君のアパートを張っていたことを知っていた。従って北の情報を知りうる人物で、裏切り者の可能性がある。つまり二重スパイなんてものは、結局北でも南でもない、どっち側でもないってことだ。その素人のどっち側でもない奴がモンスターってことに気付いたんだ。モンスターがフロピーを持っていることをね。」
小野寺が眉根を寄せて呟いた。
「なるほど、そうかもしれません。奴等も必死だったんでしょう。結局、洋介君を死に追いやったのは私ということになる。親御さんになんて言ってお詫びしたらいいのか。」
親父さんが、重々しく口を開いた。
「しかたがない。だれが悪いということではないんだ。そんなふうに因果が巡ってしまった。それが縁というものなんだ。」
その沈痛な声には皆を納得させる響きがあった。深い溜息をついて小野寺が続けた。
本国からの矢の催促に岡山が焦っていたのは確かだ。焦った岡山が辿り付いた結論はこうだ。三人の少年は全員日本人に入れ替わり、日本人社会の中枢にいる。彼等ならその解読法を知っているはずだというものだ。
岡山は丸山の交友関係を徹底的に洗った。MDに入っていた住所録を元に全ての人物の写真を撮った。そして小野寺が呼ばれ、その一枚一枚を入念にチェックさせられた。そして岡山の推理が当たっていたことを思い知らされたのだ。
「それが、石神井の石橋順二だな。小野寺さんもその事件の時、現場にいたのか。」
「いいえ、私はあの事件には全く関わっていません。」
「確かに、あの事件では現場で吐瀉物は発見されていない。」
と言ってにやっと笑った。石田が聞いた。
「しかし、何故、小野寺さんは岡山にフロッピーの情報を提供しなかったんですか。」
小野寺が溜息を漏らした。
「私は二重スパイの生活に疲れていました。こんな生活から逃げ出したかった。だから、最終的には岡山に情報を売るつもりでいたんです。そしてヨーロッパにでも渡ってのんびり暮らすつもりだった。」
「しかし、石神井の事件では容疑者が捕まった。ワシはそのことで自分の推理を捨てざるを得なかった。」
「あの容疑者は韓国エージェントです。日本国内で事件が騒がれ、韓国情報部としても騒ぎを沈静化させる必要があった
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