第二十一章
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進した。男もこれに立ち向かった。
最初の一撃は丸山の肋骨に阻まれ弾かれた。岡山はにやりと笑った。丸山も背広を左腕に巻き付け構えた。しかし、岡山のナイフさばきは見事なものだ。右からと見せかけ左から払う。丸山の両腕は血だらけになり、丸山の口から悲鳴が漏れ始めた。
その時、岡山は腰をぐっと落とし、そのまま体ごと丸山にぶつかっていった。丸山の口からうめき声が漏れた。岡山はナイフの柄を握ったまま、体を丸山の背後に移し、一気に引きぬいた。どっと丸山が倒れた。絨毯がどす黒く濡れて広がった。
小野寺は急激に胃がせりあがるような感覚を意識した途端、嘔吐した。ゲーゲーと声をあげて吐いた。岡山が怒鳴った。
「おい、隣近所に丸山の怒鳴り声が漏れているかもしれん。パソコンの電源を消して退却だ。分かったな。」
こう言い終えて岡山はMDボックスからMDを鷲づかみにして鞄に入れると玄関に向かった。
小野寺はハンカチで口を拭い、パソコンを消そうとしたが、ふとMD取り出しボタンを押してみた。すると中にMDが入っていた。或はと思い外付けフロピーディスクドライブを見ると、フロッピーが僅かにその先端を覗かせている。小野寺は二つをポケットにいれると、岡本の待つ車まで走った。
榊原が口を挟んだ。
「そいつは鴻巣警察の事件だな。」
「ええ、そうです。この事件のことはご存知でしたか。」
「ああ、石神井の一家惨殺事件捜査本部に志願したのは、その事件と鴻巣の事件が似ているように思ったからだ。どうも素人を装った玄人の殺しに思えた。」
小野寺が大きく息を吐いて、言った。
「驚きました。まさにその通りなのです。その石神井の事件は韓国のエージェント岡山が引き起こしたのです。」
岡山のMDボックスから盗んだMDの中にも同じMDが入っていた。意味不明の文字と数時の羅列を単なる暗号とみて、本国に解読を依頼した。最初は楽観していたらしい。しかし、本国でも解読できず、情報部から岡本に、何としても解読の手がかりを掴めとの命令が下された。
例のMDは同時に外付けフロッピーディスクドライブに刺し込み12桁の暗証番号を入れないと本来の内容を表示しない仕掛けになっている。その暗証暗号はフロピーディスクに張り付けてあった。
岡山は何人かの北のスパイを捕らえ情報を得ようとしたが、彼等から何も知らなかった。これを聞いて榊原が叫んだ。
「それだ、そこが分からなかった。モンスターという裏切り者を探すのに、何も洋介君を誘拐までする必要があったのか、どうも納得がいかなかったんだ。」
小野寺が聞き返した。
「どういうことです。」
「つまり、こうだ。北側はMDとフロッピーがセットだと知っていた。恐らくこれは丸山の考案だ。丸山宅からは二つとも盗まれたが、北側は肝心
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