第二十章
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しくなりそうだ。そうそう、今日、逮捕されなきゃならないかもしれないな。」
晴美も目を覚ましていたらしく、榊原の言葉を聞きとがめた。
「おじちゃん、なんで逮捕されなきゃならないの。」
「うーん、どうも説明しずらいな。でも、大丈夫だろう。疑いも晴れ、無罪放免になる。きっとな。」
「もう少し、詳しく教えて。」
石田が口を挟んだ。
「晴美、今日、全てが終わったら、教える、何もかも。二人は今日やるべきことがあるんだ。」
「もしかして、お母さん達も誘拐されたんじゃないの。」
石田と榊原が顔を見合わせた。石田が重い口を開いた。
「ああ、そのまさかだ。だが、お母さん達は大丈夫だ。二人に危害が加えられる恐れはない。或る人物が奴等の所に行けば、お母さんと春代ちゃんは開放されることになっている。それは間違いない。」
「ある人物って誰なの?昨日聞いた、伯母さんが仁に電話した、その携帯の持ち主?」
石田はつくづく勘の鋭い子だと思った。しばらく口をつぐんでいたが、もう隠す必要はないと感じた。頷きながら答えた。
「そうだ、実はそれが君のパパだ。昨日の深夜、ここに来て、君の寝顔をずっと見詰めていた。お別れがしたかったんだ。」
見る見るうちに、晴美の大きな目から涙が吹き零れ、頬を濡らす。思いも掛けない真実に触れ、心の隅にしまい込んでいた理不尽な思いから、一瞬にして開放されたのだ。
「パパは叔母さんを愛していたの。」
「そうだ。だから君のパパは、君を見るのが辛かった。君が僕の妹にそっくりだったからだ。君を嫌っていたわけじゃないんだ。」
晴美が声をあげて泣き始めた。
「さあ、時間がない。いいか、ここで待つんだ。榊原の親父さんはここの支配人と友達なんだ。事情を話して、君を預かってもらうことになっている。夜までには、かたをつける。つまり、君のパパを救い出す。君のパパは何もするなと言い残した。俺達が動けばお母さんと幸代ちゃんに危険が迫ると思っている。だけど、俺達は君のママと幸代ちゃんの二人が開放されてから動くつもりだ。それなら、君のパパも許してくれるだろ。」
晴美は泣きべそをかいたまま階段を降りてくる。健康ランドのお仕着せに身を包んで、肩を震わせている。何度もしゃくりあげる様子は子供のそれだ。石田と榊原が準備を整えると、三人は車の外に出た。晴美が二人に抱き付いてきた。声を震わせ言った。
「二人とも絶対に戻って来て。パパを、お願い、助けて。」
石田は車を走らせながら榊原に聞いた電話番号に掛けた。
「ちょっと情報を提供しようと思って電話したんだ。情報と言うのは警視庁の刑事が二人殺された事件のことだ。知っているかね。」
「は、はい、知っています。」
相手はかなり緊張している様子だ。
「それでは、その事件担
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