第二十章
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人と一緒に帰ればいい。」
「分かりました。あなたの言葉に従います。最後の言葉は眉唾だが、それはもうどうでもいい。」
「おいおい、それはないだろう。俺は本部に対してだって超然としてきた。あんたの命は保証する。信用しろ。それより、あんたは、何故、あの石田と接触をもったんだ。」
「あの石田」という言葉に、「あの少女の兄」というニュアンスを感じた。電話の相手が飯島であることは間違いない。
「飯島さん、おひさしぶりです。こうして再会するとは、やはり縁でしょうね。何故、あの少女のお兄さんである石田さんと私が結び付いたのか。実に不思議なことです。」
飯島は正体がばれたのはまずいと思った。やはり殺すしかないだろう。
「飯島さんは、信じないと思いますが聞いて下さい。実は不思議なことが起こったんです。石田さんが突然私に電話してきたんです。誰も知らないはずの私の携帯に石田さんが電話を掛けてきたんです。何故だと思います?」
「そんなこと分かるか。」
「あの少女が、あの柏崎で死んだ少女が、私の携帯を使って石田さんの携帯に電話したんです。お兄さん助けてと叫んだそうです。」
「…………」
「私の携帯は非通知設定でした。石田さんはある伝手を通じてNTTの通話記録を入手しました。その日付を見て、私も目を見張りました。まさにあの日だった。私達があの少女の命を奪った、あの日だったんです。飯島さん、そんな話信じられますか。」
「信じるわけないだろう。」
その声に怯えはない。苛立ちを押さえているが、耳だけはそばだてている。
「私も、その通話記録を見るまで信じなかった。しかし、その記録には昭和57年7月18日の日付が確かに書いてあったんです。飯島さん、死は終わりじゃないのですよ。それが信じられるようになって、少しは気が楽になった。」
飯島が怒りを爆発させた。
「うだうだ下らんことを言ってんじゃねえ。明日の午後四時電話する。その誰も知らないその携帯番号を教えろ。」
携帯の番号を教えると、飯島が言った。
「いいか連絡を待て。二人に危害は加えない。とにかくブツを用意しろ。」
見覚えのあるキャンピングカーが見える。既に深夜0時を過ぎていた。合図のノックをすると榊原が顔を出した。居眠りしていた石田が背筋を伸ばしているのが見える。中に入ると皆既に車座になっていて、小野寺の席も用意されていた。
上下のベッドが二つ壁側に折りたたまれ、三畳ほどのスペースがある。晴美の姿はない。中に入ると、榊原が上を指差した。運転席の上がベッドになっている。見ると、晴美は顔をこちらに向けて寝入っている。疲れているのだろう軽いいびきが聞こえる。小野寺はその顔をしばらく見詰めた。
こうして寝顔を見詰めるのは何年ぶりだろう。夜遅く部屋を覗くと、ぐれてはい
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