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シンクロニシティ10
第十九章
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らねばならない。

 四人が階段を上がってくるまでの時間が途方もなく長く感じた。臼井は石田から預かった拳銃をビニール袋に入れて手に持っていた。臼井が二人から聞いたこれまでの経緯を話している時でさえ、次々とパトカーが到着する。石川は気が気ではない。
 石川がビニール袋に入れられた銃を受け取ると、二人のパトカー乗務員、臼井と内田にに新たな指示を下した。
「よし、分かった。私が二人を保護しよう。それより、地下をもう少し調べてくれ、中にもう一人の声が聞こえた。」
「ええ、それが彼女を拉致した犯人のうちの一人だそうです。」
 二人は石川に敬礼して、再び地下に降りてゆく。奴等を地下室ともども葬ってしまわなければならない。石川は少女に話しかけた。
「私は警視庁捜査一課の石川と申します。しかし、大変な目にあったみたいですねえ。体の方は大丈夫ですか。」
「ええ、平気です。でも二食とも油っぽいコンビニ弁当だったのには参りました。」
 石川はことさら大きく笑って見せたが、外の様子を見て気の遠くなる思いに駆られた。制服警官のオンパレードだ。二人の仲間の偽警官が叫んでいる。
「犯人は拳銃を携帯しています。この通りの東側に逃げています。本庁の石川警部の指示です。包囲網を敷くようにとのことです。おたくはこのまま戻って山手通りに行ってください。」
石川がその一人の偽警官に声をかけた。
「おい、澤田巡査。ちょとこっちにこい。」
 澤田と呼ばれた男が振り返り、駆け寄った。石川は澤田に地下室にパトカー乗務員を閉じ込めろと指示した。澤田がビルに向かって走った。しばらくすると、喧騒のなか、床の閉まる振動が後ろから聞こえてきた。しばらくして澤田が何食わぬ顔で横を通りすぎた。

 石田と晴美はパトカーの横で待機していた。ちょっと待っていて欲しいという石川警部の指示に従ったのだ。石川警部は喧騒の中、次々と到着する警察官たちにてきぱきと指示を出し、忙しそうに動き回っていた。
 15分ほどして機動捜査隊が到着して、ビルの回りにテープを張り始めた。機動捜査隊員二人が敬礼して、石川警部に捜査開始を伝えた。石川警部が辺りを見回した。そこに待機している二人の警官を呼んだ。
「おい、そこの二人、ちょっと来い。」
二人は早足に近づいてきた。石川警部が喧騒に負けないような大声で指示を出した。
「この事件は本庁が取りし切る。お二人を警視庁にお連れしろ。特にお嬢さんは疲労困憊されている。手短に調書を取ったら、入院の手続きが必要だ。いいな。分かったな。」
 二人は踵を返しパトカーへ向かう。石田と晴美に事情を説明し、パトカーのドアを開けた。二人は後部座席に落ち付いた。ドアが閉められようやく喧騒から逃れた。二人の警官も乗り込みパトカーが動き出す。

 
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