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シンクロニシティ10
第十九章
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てきた。一人がベンツのおいてあった場所のシャッターを開けている。シャッターがガラガラと音をたてて天袋に巻き込まれる。もう一人が駆け込み、ベンツの脇にしゃがみ込んで何かを操作している。
 榊原は潜んでいたビルの脇から出て、通りを渡った。塀の陰から中を覗くと、シャッターの陰で見えないが、機械的な音が響いている。近づこうと、塀から頭を出したとき、ふと左方向のドアに男がいて、携帯で話しているのに気付いた。
 榊原は男を見て愕然となった。なんとその男は石川警部だったのだ。その時、銃声が響いた。8発だ。一人の制服警官はベンツの前で銃を構えている。ということは、もう一人の警官が一丁の拳銃で8発連射したことになる。つまり彼等は偽警官だ。警官の銃は5発しか装填されていない。
 躊躇なく制服警官に向けて拳銃の引きがねを引いた。弾はコンクリートに当たって跳ねた。制服警官は咄嗟に柱の陰に隠れて、何か叫んだ。そして二発三発と続けざまに撃ちまくる。静寂が訪れる。 
 榊原も狙いを澄まして、一発撃つ。反撃は凄まじい。しまいにはカチッカチッと銃弾が切れ、空打ちの音が響く。それを見てもう一人が撃ち始める。再度狙いをつける。絶対にはずすものかと撃ったが見事に外れた。もう少し練習しておくのだったと後悔したが後の祭りだ。
 一人が踊り出て、焼却炉の陰に隠れ、カートリッジを交換している。今度こそと思い、塀に銃を固定して、顔を出すと思われる位置に向けた。男が銃を構え、顔を出した。引き金を引いた。銃弾はコンクリートに当たってはじけた。
 榊原の潜んでいる塀に銃弾が何発も撃ち込まれ、コンクリートが弾け飛んだ。石川警部も撃っている。思わずかがみこんだ。焼却炉の右端から男がまた銃を構えた。そこからだと榊原は丸見えだ。榊原は走って通りを渡り、ビルの脇に隠れた。 
 二人の警官が塀の両脇から榊原の潜む暗がりに銃を向けた時、サイレンの音が近くで響いた。榊原はビルと塀の僅かな隙間を奥へ奥へと後退さりして通りから離れた。もうすぐこの辺は警官でいっぱいになる。石川警部は一帯を捜索させるだろう。その前に何とか車にたどり着かねばならない。あちこちからサイレンが聞こえてくる。

 石川警部は、駆けつけたパトカー乗務員二人にバッジを見せながらすぐさま名乗った。
「警視庁捜査一課の石川だ。警官殺しの犯人とおぼしき男を尾行中拳銃の音を聞いて駆けつけた。既に本庁には連絡してある。応援が駆けつけるまで、ここでの指揮は俺がとる」
二人はすぐさま敬礼し、指示に従うそぶりをみせたが、硝煙の臭いのたちこめる現場である。二人は興奮していた。ひとりが、「あれは何だ」と叫んで駆けだした。ベンツの脇の床が45度の角度で持ち上がっていて、下から光りが漏れている。石川が舌打ちしながらそちらに近づいて行く。地下室の入
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