第十七章
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ス語を自在に操った。小野寺はこの少年達の日本語の発音を徹底的に矯正するのが仕事だった。
飯島は三人を国際的なスパイに育てるといきまいていた。そう言う飯島も英語を流暢に話すところをみると、自分の果たせなかった夢を三人に賭けていると当時は思っていた。飯島は、空いている時間を空手や武器の使用法など、スパイの実践技術を徹底的に叩き込んでいた。
そんな飯島の言葉は命令に等しかった。三人は顔を見合わせ、頷き合った。そして躊躇することなく建物を出て、松林に潜みながら少女に近づいていった。小野寺は呆然と三人の少年達の後姿をみていた。
少女は男達に何度も陵辱された。少年たちの欲望は果てしなかった。小野寺は目をつぶるしかなかった。日本人はもっとひどい事をしてきたのだ。それこそ何万倍もの規模で。小野寺は手を出さなかったが、べそをかく少女を労わった。そして、こう言い聞かせた。
「君と同じ不幸は、かつて朝鮮の地で毎日のように繰り返された。多くの女子供が犠牲になったんだ。君は一ヶ月後、我が祖国に送られることになっている。そこで、自分の親達が成したことの罪滅ぼしをするんだ。」
少女は地下室に押し込められていた。警察が何度も訪ねて来たし、付近の捜索さえ行われたが、地下室があることは誰も気付かなかった。別荘で過ごす、会社社長と弟、その弟の友人二人、そして社長付きの運転手が小野寺の役回りだった。
その役割を自然に演じることが出来るほど3人のスパイの卵は、日本語が巧みだった。流行語も上手に喋った。相当の訓練を積んで送り込まれていたのだ。みな利発そのもので、すばしこかった。その中でも社長の弟を演じた少年は語学も格闘技も群を抜いており、飯島のお気に入りだった。
彼は三人のリーダー格で、明るく振舞っているが、その目には冷酷な光りを宿していた。和代に対して惨い扱いをしており、憎んでいるようにさえ見えた。小野寺は彼を何度か、無抵抗の女に手荒なことをするなと、たしなめた。
しかし、少年の心には日本人に対する深い憎悪が宿っていた。口でたしなめても、少年は隙をみつけては和代をいたぶっていたのだ。少女は精神的に参っていた。少年は和代が同じ年頃だからこそ、憎悪を膨れさせたのかもしれない。
小野寺は見ていられず、とうとう拳で少年を殴り付けた。その時である。突然、飯島が駆け寄り、拳銃で小野寺の顔面を殴りつけたのである。小野寺はどっと後ろに倒れ、しばらく気を失っていた。そして意識を取り戻した時、目の前には飯島が仁王立ちになり、小野寺の眉間に拳銃を向けていた。二人はにらみ合った。飯島が口を開いた。
「舐めた真似をしやがって、貴様は何様のつもりだ。世界革命に私情は禁物だ。目的達成には手段を選ばぬ冷酷さが必要なんだ。こいつ等にはそれがある。」
そう言うと、それ
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