第十七章
[11/11]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
口を振った。犬山は頭が朦朧としていた。おずおずとドアの内側へと入っていった。涙が止めどなく流れた。死にたくなかった。まだ子供は小さいし、女房を愛していた。
かくかくと歩を進めた。鉄の扉が後ろで閉まった。薄暗い部屋に一人の男が立っていた。涙でよく見えない。涙を絞りその男に焦点を当てた。その男が誰であるか分かった時、犬山のこの現実が理解できなかった。さらに確かめようと手の甲で涙を拭った。
男は後ろ手に持っていた拳銃を一瞬のうちに構えた。次の瞬間、その銃口から犬山の額に一直線に弾が走った。死の瞬間、犬山の脳裏に疑問が渦巻いた。
「高嶋方面本部長が奴等の仲間?何故?」
疑問は疑問のまま虚空に留まった。犬山の額から流れるどろどろとの液体がその疑問を空に放出したのだが、今、それはコンクリートの床を赤黒く染めていた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ