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シンクロニシティ10
第十六章
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警視庁内部にいる。」
「それを調べろというわけですね。分かりました。」
「ワシはその日、非番で家にいた。持ち出せるわけはない。だからそいつを特定出来ればワシの容疑も晴れる。12日か13日に例の金庫に入った奴の名前を知りたい。そいつはワシの拳銃と弾の保管場所の周辺に指紋を残しているかもしれない。」
「分かりました。やってみます。」
 榊原は随分と迷って犬山に決めた。父親は警視庁関係者との接触は危険だと言う。しかし、自分の無実を証明しなければならない。最初は高嶋方面部長を考えたのだが、彼の立場上榊原と接触があったことを秘密にしておくことは難しい。犬山であれば秘密は保たれると判断したのだ。

 江東区の健康ランドに移って二日目、三人は昼過ぎ近くに目覚めた。コヒーをいれながら、親父さんが昨日までの調査の詳細を語った。手に入れた石田の携帯の通話記録を見詰め、何度も首をひねっている。
「いったい、これはどういうことなんだ。」
三人はじっと、通話記録の日付に見入った。
「昭和57年7月18日、ってことは…ワシが50代前半の頃だ。つまりおおよそ18〜9年前に掛けられたってことになる。まあ、コンピュ−ターの誤作動か何かに違いないのだろうけど、IT時代にもこういうことがあるわけか。」
「いや、IT時代だからこそ、こういうことが起こるんだ。」
 榊原親子の会話はそこで途切れた。しかし、黙って、食い入るように見詰める石田には、それは忘れようにも忘れられない日付だった。その日付はまさに妹が殺された日なのだ。石田がぽつりと言った。
「いや、18〜9年前ではない。ちょうど20年前になる。」
榊原がすぐに反応した。
「そうか、しかし、不思議なこともあるものだな。20年前と言えば、俺達が出会った頃頃だ。」
榊原はふっと何かを思い出したらしく、一瞬顔を曇らせた。そう、榊原はこれまでも石田の妹の死について一言も触れることはなかった。石田がそのことを打ち明けた時でさえ、無言で、石田の肩に手を添えただけだ。その後もその話題を避けた。
「で、晴美が俺に掛けてきた携帯の持ち主は分かったのですか。」
この一声で、榊原の抱いた不安は遠のいた。まさか石田の妹の命日?それが榊原の不安であった。言葉を差し挟もうと思った時、親父さんが答えた。
「分かったことは分かったんだ。契約書に書かれた住所を訪ねたんだが、ごく普通のサラリーマンで、持っている携帯の番号は全く違っていた。恐らく偽造の免許証で携帯のナンバーを取得したんだろう。」
榊原が、不安を振り払うようにいつになく饒舌になって説明した。
「いわゆる免許証なんて、いくらでも偽造が可能なんだ。最近はかなり精巧なやつが出まわっている。特に不法入国者が後を断たんだろう。こういう奴に偽造免許を供給
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