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シンクロニシティ10
第十章
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ゃねえか。」
戸塚が顔を上げて榊原を見た。
「どうする気だ、これを。」
「まあ、いずれ、これは公にするしかないだろう。そう思わんか。」
「ああ、マスコミに流すか、或いは裁判の証拠として使うかだな。これが二人の女性の捜査が十分なされなかった理由だと訴えるしかない。問題はどういうタイミングで出すかだ。」
二人の会話に大きく頷き、瀬川が言った。
「やりましょう。難しい仕事になるのは目に見えていますが、なんとかやりましょう。榊原さん。」
榊原は頷いた。瀬川はかなり興奮しているらしく、いきなり榊原の手を取って強く握り締め、唾を飛ばしながら言った。
「榊原さん。私も首をかけてもいいです。私も榊原さんと一緒に首をかけます。」
戸塚が苦笑いしながらちゃちを入れる。
「二人とも随分と燃えているじゃないか。感極まって男同士抱き合うなんてことは、やめてくれよ。」
榊原が慌てて瀬川の手を解くと、言葉を返した。
「ああ、大丈夫だ。ワシも抱き合うんなら女の方がいい。」
戸塚がいつになく真面目な表情を作ると言った。
「榊原、俺は見なかったし、聞きもしなかったことにする。俺の言っている意味は分かるな?」
榊原が大きく頷く。戸塚は警部の試験に引き続き、管理職試験にも合格した。出世街道をまっしぐらだ。とはいえ何時勉強しているのか不思議なくらい多忙な生活を送っている。榊原はこの男の出世に心から声援を送ってきた。だから言った。
「ああ、お前は何も見なかったし、何も聞いちゃあいない。」
榊原と瀬川が立ち上がり、部屋を出ようとしたとき、戸塚が声を掛けた。
「くれぐれも慎重にな、とにかく頑張れ」
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