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シンクロニシティ10
第八章
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くその意味のある偶然って奴だ。ワシが今まさにその上村組のことを考えていた。密かに内偵している事件の鍵を握っているのがその上村組なんだ。」
「へー、そいつは面白い。幸子、晴海、洋介、そしてお前が、偶然にも上村組で繋がった。単なる偶然の一致として片付けるわけにはいかないかもしれない。」
「以前お前も言ってたじゃないか。お前は仕事で悩んで資料室で文献を探していた。その時、偶然、棚から資料を落とした。落ちた文献の開いたページに、その解決の糸口が書いてあったって、そう言ったじゃないか。実は、ワシも何度も捜査で同じような経験をしている。そんな時に限って難事件が解決するんだ。」
「ああ、その話は覚えている。面白い。確かに何かがあるのかもしれない。」
「うん。久々にやる気になった。徹底的に洗ってやる。」
「ああ、その意気だ。これだけ狭い人間関係が一点に収斂された。何かがあることは確かだな。」

 電話を切ってからも興奮は収まらなかった。密かに内偵していたのは、石神井の捜査本部に入る前の話だ。その事件は上司の横槍が入り、やる気をなくして放り投げた。それが駒田等に対抗するため、その事件に関わるブツを入手する必要に迫られたのだ。
 そのブツには、警察庁キャリアのスキャンダルの核心が隠されている。それを握っているのが上村組なのだ。それが石田、榊原、幸子、晴海とその恋人洋介、それぞれが繋がった。何かがあることはまず間違いない。

 その日、池袋署マル暴の知の知り合いに連絡をとり、上村組に同行してもらう手筈をとった。翌日、朝出勤すると、机にメモが置いてあった。捜査四課長、高嶋からの伝言で、今日、7時に新宿の例のバーで待つと書いてあった。そのメモを丸めてゴミ箱に放り投げ、お茶を一口すすって席を立った。
 有楽町線で池袋向かった。昨夜はつい飲みすぎてしまい、アルコールが少し残っている。二日酔いと言うほどではないが頭が重い。幸い通勤時間を過ぎており、席に座ることができた。瞼を閉じ、うつらうつらして目を開けるといきなり池袋に着いている。
 
 待ち合わせの場所は東口駅前の交番だ。中を覗くと、眠そうな目をした中畑がお茶を飲みながら、制服警官とおしゃべりに興じている。どうやら中畑も二日酔いらしい。相変わらずヤクザと見まごうばかりだ。肉厚なボディに角刈り、腕には金のブレスレットが光る。
 外の榊原に気付いて手で中に入れと指示していたが、榊原が首を縦に振らないものだから、ごそごそと立ちあがって外に出てきた。身長175センチの榊原も見上げるような大男だ。しかし、その声は少しトーンが高い。
「二日酔いなんだ。そんな俺を朝っぱらから働かそうってわけか。」 
「ワシも二日酔いだ。それにもう10時過ぎている。親分さんも、もうご出勤だろう。」
「しょ
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