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シンクロニシティ10
第六章
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間と一緒にやって来て袋叩きにされちゃったよ。おっと、見ろ、あいつもタクシーを捕まえたぞ。」
「ちくしょう、しつこい奴だ。そうだ、運転手さん、1万円やるから、次ぎの角を曲がったら俺を降ろして、そのまま暫く走ってくれないか。」
「あいよ、でも、降りる時、後続車には気を付けてくれよ。」

 十字路を左に曲がって5メートル程行ったところで急ブレーキが踏まれ、車が止まった。洋介は飛び降りると、目の前のビルに飛び込んで大きな立て看板の後に隠れた。タクシーは再び急発進して遠ざかる。
 10秒ほど遅れて、男の乗ったタクシーが十字路に入ってきた。男は運転席に手をかけ前を睨んでいる。一瞬、男の獰猛そうな目の輝きを捕らえた。まるで狩人の目を思わせた。洋介はテイルランプが闇に消えるまで見詰めていた。

 タクシーを乗り換え、下谷の従兄弟のマンションに辿り付いた時、膝ががくがくで部屋に入るなりベッドに倒れ込んだ。恐怖と悔恨が一緒になって洋介の心を苛んだ。背筋が凍りつくような感覚だ。どうやら自分は大変なことに首を突っ込んでしまったらしい。
 しかし、あの銀髪からMDを奪って、5分から10分の間に、仲間が池袋駅に現れている。とすれば、仲間は池袋付近にいたことになる。あの男は、或いは集められた男達のうちの一人でしかなく、彼らは分散して池袋から山の手線に乗ったのかもしれない。
 いずれにせよ、暫くは池袋で降りるのは危険だ。大学はどうする。もうすぐ新学期が始まる。しかし、相手は拳銃を振り回すような男達だ。殺されることを思えば、大学どころの話ではない。1年休学するか。どうせ法律なんて飽き飽きしていたのだから。
 寝返りをうった時、背中に挟んだMDの存在を思い出した。すっかり忘れていた。そうだ、これが全ての原因だった。まず、男が必死で取り戻そうとしたこのMDの中身を知ることが先決だ。従兄弟のパソコンデスクに向った。
 MDを指し込み、マイコンピューターを開いた。MDをクリックして、画面を覗き込んだ。暫くして大文字と小文字のアルファベットと数字の羅列が画面に映し出された。
 何の意味も見出せないまま時が過ぎた。高校時代数学を捨てていたことを後悔していた。入学当初から文系私立を選択していたのだ。確か数列という授業があったはずだ。しかし、知っているのはその言葉のみで内容は全く思い出しもしない。
 携帯を取りだし、晴美を呼び出した。幸い晴美はすぐに出た。
「もしもし、洋介、どうして電話くれなかったの。もう3日も会ってないのよ。ずっと留守電になっているし、折り返し連絡してって言っているのに、ぜんぜん…。」
「おい、晴海、今、それどころじゃないんだ。大変なことになった。思いもしない事態に巻きこまれたんだ。」
「大変って。」
「お前の、親父さん、何
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