第四章
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バブル時代に不動産を買いあさって失敗したって言っているけど、具体的には何も知らない。いつの間にか、財産がなくなってしまったみたい。確信はないけど、叔母も甘い汁を吸っていたと思う。だってすっごく強欲だもの。あの頃、しょっちゅうパパに電話してきていたわ。最近は、ママとは絶縁状態。」
「つまり、晴美も財産を吸い上げたのは叔母さんかもしれないって思っているわけだ。」
「ええ、そうとしか思えない。だってパパは馬鹿じゃないもの。前からやっている事業はそのまま順調みたいなの。なのに、新たな事業だけが全部駄目になってしまうなんて考えられる?」
「よし、調べてみるか。親父さんの会社って何を扱っているの?」
「メインは大理石の輸入加工販売だけど、他にも何かやっているみたい。でも、詳しくはしらない。興味ないし。」
「でも、本当に全部使っちゃったの、君の親父さん。それを許していた君のママもちょっと考えられないな。」
「ママはそういう人なの。降って沸いたような財産だったから実感がなかったみたい。まして、人を疑うことを知らないし、欲ってものがないの。残ったのは株券だけだって。でも、その中でかなり急成長している会社があって、その配当がすごいらしいの。パパが離婚届に判を押さないのはそれを狙っているからじゃないかしら。」
「その辺は分からない。でも間違いなく女がいると思う。その証拠を掴めばすぐ離婚出来るんじゃないの。」
「それが、だめみたい。尻尾を掴ませないんだって。私立探偵雇ったけど、それらしい人がいないのよ。不思議なんだけど。」
「ふーん、手始めに親父さんが借りているマンションでも張ってみるか。」
「わー、かっこいい。何だかわくわくしてくる。兎に角、駒込の叔母さんっていうのも、パパもどっか変なのよ。暗くって、何考えているのか分からないって感じ。ママと結婚するまで猫を被っていたんでしょうけどね。」
洋介は退屈な大学生活に辟易していた。何かわくわくするものが欲しかった。目的が欲しかったのだ。もし、野球を続けていればこんな気持ちにはならなかっただろう。しかし、今さら野球でもない。
可愛い恋人に手を貸してやるのも悪くはないと思ったのだ。人のプライバシーを覗くのも一興だった。女がいないはずがないと思った。証拠を掴んで、晴美とその母親を喜ばせてあげたかったのだ。
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