第22話 玄辰水星登場
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すが。
「まぁ、それならそれで何とかなるか。明日は明日の風が吹く、とも言うからな」
まして、もしかすると、彼女の身体のチェックは今日だけで終わらない可能性も有ります。
何故ならば、俺は彼女の事を完全に信用して居ますが、水晶宮の方がそうだとは言い切れませんから。
確かに、壺中天のような異空間を作り上げて、その内部の時間の流れを現実世界から切り離す方法は存在していますが、それを確実に使用して有希の身体のチェックを行うとは限りません。
むしろ、有希に仕組まれているギミックの完全な排除をした後でなければ、自らの手札を場に晒すようなマネは為さないと思いますからね。
「お待たせしました」
二度のノックの後、重厚な、と表現される扉を開いて一人の女性が顔を見せた。
若い女性。見た目から判断すると、十代後半から二十代前半まで。髪型は、有希よりは長めのボブ。有希がかなり短い目のボブ・カットならば、彼女は、ショート・ボブと言う程度ですか。
色は黒。ただ、印象として少し、深い海を連想させる碧の黒髪と言う表現がしっくり来る黒髪。
瞳は、濃いブラウン系。一般的な日本人女性に多い髪の毛と瞳の色と言う事ですか。
但し、その瞳の色にも何故か蒼を感じさせる女性。
そう。知的な雰囲気の清楚な印象の美女……と言うには未だ少し足りませんか。未だ十分に少女の面影を残した佳人と言う女性だと思いますね。
正直に言うと、この目の前の女性は間違いなく、長門有希と言う名前の少女がこのまま。いや、今のままではなく、目の前の女性のような柔らかな微笑みを手に入れた後に、歳を重ねて行けば、この眼前の女性のような女性となるのは間違いない、と言う女性。
その女性が、俺と有希を少し見つめた後、俺たちの正面。ホスト側のソファーの神代万結の隣へと腰を下ろす。
そうして、
「始めまして。水輪綾と申します」
……と、自己紹介を行った。
ただ、この女性からも、何か妙な気分を感じて居るのですが。
何と説明したら良いのか判りませんが、この女性を見つめていると、何故だか、妙に涙が出て来る。奇妙な既視感。覚えのない懐かしさのような感覚を与えられる相手だと言う事です。
俺が何の反応も示さずに、ただ、水輪綾と名乗った女性を見つめるだけで有った事を訝しく思った、……と言う訳でもないのでしょうが、女性が、更に自己紹介を続ける。
「そして、当代の五曜星が一柱。玄辰水星を務めさせて貰って居ます」
成るほど。この場に、この女性が現れた意味が良く判りました。そして、本来ならば、昨日の内に、俺と有希の二人と、この目の前の女性の顔合わせは行われる予定だったと言う事なの
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