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ヴァレンタインから一週間
第22話 玄辰水星登場
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【だから死ぬなどと言う言葉を口にして欲しくはない】

 彼女(有希)に相応しい抑揚のない淡々とした口調の、しかし、彼女には相応しくない強い意味を持つ言葉。
 その大切な言葉を、彼女は実際の言葉として伝えて来る事ではなく、【心の声】として伝えて来た。

 表面上は他人に対して無関心なように見えますが実はそうではなく、他人を気遣う事の出来る優しい心を持った少女。長門有希と言う名前の少女は、そう言う心を持った少女だと言う事なのでしょう。

 そう考えながら、真新しい部屋の中心に存在する彼女を見つめる俺。
 整い過ぎたガラス細工に等しい容貌に、彼女の印象をより鋭利な物にしている銀のフレームが光る。
 しかし、そのガラス越しに俺を見つめている瞳が。そして、何より彼女の発して居る雰囲気が、それ以外の理由を俺に伝えて来て居た。

 ――そう、それだけではない理由を。
 それは……。

「いや、そんなに深刻に考える必要はなかったんやけど、少し心配させるような形に成って仕舞ったかな」

 本当に軽い調子でそう彼女に伝える俺。それに、本当に、そんなに深刻に成る必要などなかったのですから。
 本来、人工生命体の彼女に取って、寿命など存在してはいません。身体のメンテナンスを怠らずに、故障した部分を小まめに新たな生体ユニットに交換して行けば、彼女には無限の生命が用意されて居るはず。
 その彼女に比べたら、俺は生身の存在ですから、寿命と言う観点から言えば、明らかに彼女よりは先に尽きる存在です。故に、その部分を口にした心算だったのですが……。

 そして、少し息を整えてから、有希を見つめる。
 相変わらず、俺を視線の中心に置いて、俺の次の言葉を待つ少女。真新しい部屋の主に相応しい、彼女独特の表情を俺に魅せ、しかし、その感情(内面)からは、ほんの少し、彼女の名前に相応しい微かな()()を感じさせながら。

「そんな心算はなかったんやけど、それでも、少し配慮に欠けていたのは確かやったな。ホンマにすまなんだな」

 俺の素直な謝罪の言葉に、少しの空白の後、微かに首肯いて答えてくれる有希。
 その姿、そして、仕草は普段の彼女そのもの。取り立てて不機嫌な様子も、そして、不満な様子も感じられない。

 ただ……。
 ただ、彼女は矢張り、生命体の『死』と言う物を理解している。
 それは、知識として理解している、……と言う物ではなく、経験として理解しているような雰囲気を感じる。
 まるで、近しい誰かを失った経験が有るかのような……。

 しかし、それにしては、自らの生命を失う事に付いては、恐れのような物を感じさせる事がないのですが……。
 確かに、情報統合思念体の元に、彼女の経験などのバックアップ・データは存在しているは
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