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 Fate/Last 第6次聖杯戦争
開戦
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であろうと容易に想像のつく邪悪な笑み。
 その時、アルトリアの中で何かが切れた。
 一瞬で踏み込む。その速さはまさしく神速。
 次々と打ち込んでいく。ランサーの槍はそのすべてを迎え撃ち、アルトリアの切っ先は全く届かなかった。
 しかし、それでもなお攻撃の手を緩めなかった。
 「はああああああああああああ」
 ひときわ強い一撃をアルトリアが放つ。
 「ぐっ」
 それを受けたランサーは体勢を崩すことなく、体を流して威力を殺す。さらに、そのまま木を使い、アルトリアへ逆襲を仕掛ける。
 アルトリアはその逆襲を受けるのではなく逆に切りつけようとして前に出る。
 両者の影が交差する。きらめく剣戟と魔力は夜影を照らす。
 アルトリアの右の視界が、嗅覚が、濃密な赤によって塗りつぶされる。しかも、アルトリアの貯蔵している魔力だけでは一切回復が始まらなかった。二十年前、二槍の使い手による傷のような感じがする。
 「ぐっ」
 「まだだ」
 槍を力任せに薙ぐことでランサーは懐の中のもとを芝刈り機のように刈り取ろうとする。アルトリアは一撃目を躱し、二撃目を剣で受ける。槍の大きさはアルトリアよりも大きい。それ故に扱いきれるかは持ち手に大きく左右されるが、この槍兵は完全に使いこなしている。
 ならば、と風王結界の一部から風を巻き起こす。その風は得物を打合せ、零距離にいたランサーを吹き飛ばす。アルトリアの宝具【風王結界】の応用版である。本来【風王結界】は高濃度の風を圧縮させたものを剣にまとわせ、光の角度を屈折させることにより刀身を不可視にしているのだが、今回はその一部を開放し、ランサーにぶつけたのだ。当然、威力は岩を軽々と砕くものだが・・・
 吹き飛ばされたランサーはさほどのダメージも負わずに五メートルほど離れた地点に着地する。
 「ぬははは。愉快、愉快。こうしてかのアーサー王を殺すために戦をできるとは」
 ランサーの笑い声低い鐘のようなが響く。間違いなくランサーの技量はアルトリアのそれに比肩、いやそれを超えていた。これほどの腕前でそれでいてアルトリアのことをよく知っている。彼女の頭の中に嫌な予感がした。二十年前の繰り返しではないかと。彼がまた自分と刃を交えに来たのではないかと。そのランサーの顔を隠す鎧兜をにらみつける。
 「まさか・・・お前は・・・ランスロット?」
 アルトリアの心に生じた疑問はアルトリアの剣筋を鈍らせる。
 そのつぶやきがよほど気に入ったのかはたまた、頭に来たのか、突然笑い出した。
 「俺が、ランスロットだと?片腹痛い。あまりなめるなよ。あんな平和になったブリテンの地を守護していたくらいで最強を気取りやがったやつと比べるな。我々がブリテンを統一するために払った代償に比べれば、お前たちがカムランでの戦いで払った代償なぞなんでもな
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