Chapter-1 第2話
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「はあ…」
突然現れた積極的な少女マーラにただ苦笑いしながら、町の外に出ようとしていた。
「あ」
ふと足を止めた。忘れ物をしたような気分になった。
「そうだ、イアンさんに会ってこよう」
ハルカが唯一、友人と呼べる人物、イアンだ。
イアンはいつも墓碑の前に立っている。負傷してラダトーム戦士団を自ら退団した。今でも戦士のような鎧は身に着けているが、利き腕でない方には大きな傷跡が残っていた。まだ戦える力は残ってはいるが、遠出できるほどの力ではない。
「イアンさん、挨拶しに来ました」
「おお、ハルカか。聞いたぜ。竜王を倒す旅に出るんだそうだな」
イアンはいつものように笑いながらハルカを出迎えた。
「ええ。…なんか僕が勇者ロトの子孫らしくて」
周りは信じている者、疑っている物、半信半疑の者様々である。
「そうか。確かにお前は不思議な感じはするな。俺は信じるぜ。……しかし心配なものだな。多くの者が竜王を倒すため、また姫を助けるために旅立って、ほとんどの者が死んだり大怪我を負ったりした。お前はまだ若い。ハルカ、お前を死なせたくないものだな」
そういうとイアンはハルカの兜を取り、優しくなでた。ハルカが抵抗しないのはそれだけイアンに気を許しているということなのだ。
「…僕は死にませんよ。絶対に死んでたまるものですか」
ゆっくりと力強く、そう答えた。
「そうだな。信頼しているぜ」
「武器…こんなのですけど、もっと稼いだらいい武器を買いたいです」
「あはは。竹竿は俺も好きだ。若い頃の俺も棍棒より竹竿派だったぜ。棍棒はダサいからな」
「武具屋の親父さんも同じ事言ってました」
「ハッハッハッ」
ハルカはイアンといるときは今の所、唯一心から笑い合えるのだ。
「さて、僕はもう行きますね。鍛えなければ」
「あせるなよ」
「解ってますよ」
ハルカは兜を被りお互い頷くと、握手をして、イアンの元を離れた。
城下町の外へ出た。やはり暑い。
ハルカは少し塩飴をなめると、歩き出す。
「…スライム、か」
この世界では弱いとされている青くプルプルしたスライム。しかし、侮ってはいけない。
非力な人間だとスライムにボコボコにされるとハルカは聞いている。
(でも、僕は)
スライムに向かって竹竿を振り下ろす。そこそこダメージを与えられたようだ。
スライムの反撃。しかし、ハルカにはそれほどの痛手にはならなかった。
(やはり弱いのか)
ハルカがもう一回スライムを突くと、スライムはつぶれるようにして気絶してしまった。
(初勝利!)
そして落ちているゴールドを拾う。少ない金額ではあったが、ハルカはこんなものだ、とさほど気にはしていなかった。
(それより、もっと鍛えないと)
ハルカは歩き出す。
(…目指すは、あそこの洞窟。たしか、伝説の
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