Chapter-1 第1話
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光に包まれた。何かのまじないなのだろう。幸運を祈るまじない。
ラルス16世は見た目の割には若い男だ。しかし、最愛の妻(王妃)を病気で亡くし、さらに、愛娘が竜王軍にさらわれてしまったことでだんだんとやつれ、老けていった。
「よく来た、勇者ハルカよ。そなたを呼んだのは解るな?」
「僕が、いいえ私がロトの血を引く勇者なんでしょう?それで…この世界に恐怖を与える竜王を倒すということでしょう?」
国王相手には「私」を使うのが礼儀だと、ハルカ自身は考えている。
「ああ。ここに厳重に保管していた勇者ロトが大魔王ゾーマと暗黒の闇を封印した光の玉が竜王軍に奪われたのだ。そしてこの世界の魔物が凶暴化した。既にいくつかの町が滅ぼされているのを知っているだろう?」
「はい。……私の故郷も滅ぼされました」
「…ドムドーラだな。大賢者から話は聞いておる」
大賢者から。他の物にはない特殊能力を持つ彼のこと、特におかしいとも感じなかった。また、2年前にここに来たときに、ハルカについての情報もいくらか城の者は知っているのもある。
「……そなたが竜王を倒してくれるのならば褒美をやろう。そして、古の勇者ロトの伝説の再来の宴を開こうではないか」
「はっ。解りました。私に出来ることならば」
「そうか。では援助金だ……少ないがな」
ハルカが貰った金額は確かにいい金額とはいえなかった。しかし、ハルカは兵士やラダトーム戦士団が竜王を倒すため、そして国王の愛娘の王女を助けるために旅立っていったが、皆命を落とすか大怪我をおって帰ってくるだけだった。遺族へのお詫び金や負傷した兵士や戦士の治療費等で費用がかさんでしまった故だと理解し、納得した。
「後はこれも」
もう一つ、松明をもらった。
洞窟内は暗い。竜王の魔力により、本来の姿――光が届かない真っ暗な――の洞窟を歩き回るのに必要なものである。
「店でも買える。必要なときに買い足しておくといいだろう」
ハルカは頷き、国王に敬礼をした後、謁見の間を去ろうとした。
「勇者ハルカ殿」
ある人がハルカを呼び止めた。それは大臣であった。
大臣は国王より年上だが、国王より若く見える。頭の毛が薄い以外。
「ローラ姫のことをご存知か?」
「……ラルス16世の愛娘、ラダトーム王女でしょう。解っていますよ」
「そうか。王妃を亡くされて、国王は王妃に似た美しいローラ姫を大変可愛がっていた。それが竜王軍にさらわれてしまったんだ」
「城の雰囲気が沈んでいるのはそのためですよね。私も感じています」
「その通りだ。既に数ヶ月が経っている。口にこそ出さないが国王は大変苦しんでおる。ハルカ殿!ローラ姫を…ローラ姫を救出してくだされ!」
大臣の声は震えていた。国王の気持ちを代弁しているようにハルカは聞こえた。
「ええ。解りました」
当然
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