―ジェネックス Z―
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――明日香が目覚めない。
保健室の鮎川先生のところに連れて行ったが、その結論は全く変わることはなく、医学やオカルトの知識など全く無い俺にはどうしようもなかった。
《思い出のブランコ》を貸してくれた吹雪さんにも、デッキの調整を手伝ってくれた三沢にも、そして何よりも、必ず救うと誓った明日香に申し訳がたたない。
だからといって打開策があるわけでもなく、「俺のせいだ」という後悔の念に苛まれながらラー・イエローの自室に戻ると、ポケットの中のPDAにメールが届いた。
無視しようかとも思ったが、反射的にそのメールを見てしまうと、俺は足早に自室を飛びだした。
メールの文面を簡潔に表すと、こういうものだった。
――天上院明日香を目覚めさせたければ、デュエルの準備をし、光の鍵を持ってホワイト寮のデュエル場に来い――
メールの送り主は知らない者からだったものの、内容を見れば何となくは解る……すなわち光の結社の指導者、斎王琢磨。
奴が明日香が負けても気を失って目覚めないように、明日香に何かをしたに違いない……!
我ながら言いがかりにも程がある推測だったが、斎王ならばそれぐらいはやりかねなく、わざわざホワイト寮のデュエル場に呼び寄せる時点でその説に決まっている。
ほどなく俺はいつも多用していた、オベリスク・ブルー寮のデュエル場……現ホワイト寮のデュエル場へとたどり着き、斎王がどこにいるかを捜した。
「斎王! 来てやったぞ!」
「確かにメールを送ったのは斎王様だが、斎王様はここにはいない」
万丈目をリスペクトしたような芝居がかった口調がデュエル場から発せられ、俺はイライラしながらデュエル場へと登っていった。
声の主は思った通り、元・中等部最強のデュエリスト、五階堂宝山であり、その腕にはデュエル・ディスクを取り付けていた。
「……何だ、デュエルでもする気か?」
「当然だ。貴様が勝ったなら、斎王様に会わせてやろう」
明日香と万丈目を失った今、彼の実力も確実に光の結社の上位に位置するのだが、たとえイライラしていてもコイツに負けるつもりはない。
俺はデュエル・ディスクを構えると、五階堂を挑発的に睨みつけた。
「お前じゃ力不足だ。せめて銀でも呼んでくるんだな」
「早まるなよ黒崎遊矢。貴様の相手は俺でも銀先輩でもない」
五階堂や【巨大戦艦】を操る銀流星以上の実力者を呼んできたということだろうが、相手が誰であろうと今は負ける気など毛頭無い。
相手が誰かは見当が付かなかったが、さっさと来いという思いが俺を支配する。
……そして、五階堂に呼ばれて俺の対戦者がデュエル場へと登ってきた。
白いスーツ姿に日本人離れした容姿、そして、その腕に付いているデュエル・ディスクはア
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